アドバイス1 住宅購入はほぼ問題なく実現
ご相談のマンション購入ですが、結論から先に言いますと、ほぼ問題なく購入できると思います。たとえば、5年後に購入するとします。ボーナスの増額分も貯蓄に回すとすると、年間の貯蓄ペースは130万円ですから、5年後の貯蓄総額は1650万円。諸費用に100万円かかったとして、それでも頭金に1000万円は十分出せます。一方、住宅ローンは全期間固定の金利1.60%(※)、返済期間20年で、1000万円借り入れると、毎月の返済額は4万8716円。
つまり、物件価格2000万円のマンションもこの返済額で済むことになります。実際は、固定資産税や管理費等が別途発生しますが、それらを加えても、現在支払っている家賃8万円(勤務先からの家賃補助2万円を差し引いた額)とほぼ同程度のコストでしょう。
駅から近く、ペット可が希望条件ですが、広さ30平米で中古でも構わないとのことですから、上限2000万円なら無理なく探せるはずです。
また、マンション購入ではなく、実家のリフォームを選択したとしても、先のような資金計画を基本に考えれば、多少額がアップしても対応(返済期間を延ばす、頭金を増額する)できるでしょう。
※2015年7月のある銀行の20年固定金利
アドバイス2 不確定要素の強い将来については貯蓄で対応
マンション購入以外には、親の介護、自分の老後が大きな支出として考えられるとのこと。ただ、実際にはまだ先の話であり、不確定要素が多い事柄です。具体的にいくら準備するというのではなく、どういう状況になっても困らないように、貯蓄していくことでの対応でいいと思います。相談者の田中さんは、手に職を持っていて、収入も安定しています。家計管理も特に気になる無駄はなく、十分に堅実。あえてアドバイス必要がありません。今のペースを維持していけば、貯蓄も高いペースで増えていくでしょう。
アドバイス3 自分のリスク許容度を知ろう
最後に投資について。投資の基本は余裕資金で行うことです。独身でまとまった資金のある田中さんは、その点でまったく問題ありません。積極的に投資ができる環境にあります。
もうひとつ大事なことは、自分自身のリスク許容度です。投資はどんな商品をどのように買っても、必ずリスクがついて回ります。それをどれだけ許容できるか。それで投資額が決まってきます。
こう考えてみてください。投資した結果、半分に減っても納得できる額はどのくらいなのか……。それが5万円なら10万円まずは投資をしてみる。1円でも損するのが嫌だと思うなら、投資はあえてしなくてもいいでしょう。
実はかつての私がそうでした。自分が働いて稼いだお金で、なぜわざわざ損するかもしれない投資をするのか。まったく理解できなかったのです。しかし、この仕事をするようになり、勉強のためにと証券会社に口座を開き、いろいろ経験していくうちに、そのいい面も悪い面も分かるようになってきました。投資信託や株式にとどまらず、先物や現物の不動産投資もするほどになったのですから、自分でも驚いています。体験を重ねたことで、私のリスク許容度が確実に、徐々に上がってきたのですね。
田中さんが私のようになるかはわかりません。ともあれ、興味があるなら、始めてみてもいいと思います。続けるかどうかは、ある程度経験すれば、答えが出てくるはずです。「慎重かつ心配性」であれば、投資商品としては、公社債中心の投資信託などが、コストも安く、値動きが荒くないので手始めにはいいかもしれません。
教えてくれたのは……
八ツ井慶子さん
取材・文/清水京武 イラスト/モリナガ・ヨウ
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