清原和博以来となる史上二人目、10代での球宴ホームラン
西武・森が文字通り“豪快”な一発を放った。
7月18日、マツダスタジアムで行われたオールスター第2戦、六回一死一塁で代打で登場した森は、「初球から120%の力で振りたい」との予告通り、中日・大野の初球、真ん中高めの148キロストレートをフルスイング。打球は、低い弾道で右翼スタンドに突き刺さった。まさに“豪快”という言葉がぴったりな当たりだった。
「初球からフルスイングができた。アウトになってもいい。ファンの方と楽しめるのは、シーズンと違うところ」
53万票を超える両リーグ最多得票で初選出を果たした19歳(と344日)。球宴での10代の本塁打は、球団の大先輩である清原和博が1987年の第3戦に放って以来で史上2人目(3本目)だ。代打本塁打となれば、10代で打ったのは森が初めて(過去の最年少は22歳7カ月、1980年の全セ・岡田彰布=阪神)である。
球宴前に清原の記録を聞かされていた森は、「自分にもチャンスがあることがありがたいなと。ぜひ挑戦したい」と言っていた。シーズン中はヒット狙いのフルスイングだが、球宴仕様は純粋に1発狙いの強振に変えた。まさしく「有言実行」の1打だった。
前夜の第1戦では、大阪桐蔭時代にバッテリーを組んだ先輩である阪神・藤浪から東京ドーム天井直撃打(一飛)を放った。初の夢舞台で二夜連続して「森友哉」を印象付けたのは間違いない。
森のフルスイングはメジャー向き?
森には、中南米の選手の匂いがする。メジャーリーグでは約40%がスペイン語圏の選手たちが占めるが、彼らは子供の頃から「強く振らなければ、何も始まらない」と教えられて育ってきた。見逃しは言語道断。バットを振るのもただ振るのではなく、強く振らなければ意味がない。たとえ森のように背が小さくても(森は170センチ)、中南米の選手たちはブンブン振って、活路を見出していく。ソフトバンクの柳田も同じようなタイプだが、もし、メジャーに行っても人気が出ることだろう。また、森が高卒からすぐに通用し、2年目の今季も飛躍している理由を、巨人・坂本がこう分析した。「何千、何万球と藤浪の球を受けてきた。だから、プロに入っても、ストレートの速さや切れに驚くことが少なかったのでは?」。それに対して森は、「それは少なからずあると思います。藤浪さんの球は、それだけ凄かったですから」と認めた。
試合後、球場出口でその藤浪から「ナイスホームラン!」と声をかけられた森は、先輩にも関わらず、敬語抜きの“タメ口”で、「ちょい詰まりや。あんまり飛んでいかんかった」と答えている。
スターからスーパースターへ。この球宴がジャンピング・ボードになりそうだ。