テクノポップにも通じる「Love Machine」
ここまで紹介したスペースやドロイズなどのフレンチ・スペースディスコ系バンドからは、その名前や作品から宇宙に対する中途半端でないこだわりを感じます。今回紹介するスペース・アート(Space Art)も名前からして、期待をさせます。彼らは、1977年に結成されたDominique PerrieとRoger Rizzitelliからなるデュオ。Perrieの方は、日本でも有名なフランスの電子音楽家、ジャン・ミッシェル・ジャール(Jean Michel Jarre)作品のキーボード演奏者として活躍しました。スペース・アートとしては3枚のアルバムを残しましたが、初期2枚の作品はどちらかというと、プログレ+電子音楽的な内容で、それほどディスコではありません。3枚目にしてラストとなった『Playback』で突如開眼! 「Love Machine」(あえて、タイトルにツッコミは入れません!)が強烈にロボットディスコ! テクノポップど真ん中と言ってもいい内容です。
Playback (amazon.co.jp)
Love Machine (SoundCloud)
日独合作スペースディスコ
最後に紹介するのは、スペースディスコのあだ花的存在、Cosmic Galです。そのネーミングからも、オーラが出ています。日独合作とありますが、ジャケに写っているメンバーは、ドイツ人と推測される男性一人(ケント・デリカット風)に女性二人。「どうして男性がいるのに、Cosmic Galなんだ!」と突っ込みを入れたくなります。彼女たちの一番スペースディスコっぽい「Space Fever」には、4人の露出気味のギャルが踊っていますが、こちらはイギリスの「ベニー・ヒル・ショー 」というコメディー番組に出演していたダンサーであると判明。Keep On Moving (Discogs)
Space Fever (YouTube)
しかし、彼らの唯一のアルバム『Keep On Moving』を調べると、「日本の部分」が解明できました。日本盤(ちなみに何故か非公式ロシア盤もリリースされています)もリリースされており、やけに長い邦題は『ダンシング・ロンリー・ナイト~ウォンテッド コズミック・ギャル・ファースト』。
収録曲を見てみると、「Sindbat(渚のシンドバッド)」「Sergeant Pepper(ペッパー警部)」「Wanted(ウォンテッド)」といったピンク・レディーのカヴァーがあります。さらに、GS世代でないとわからないような「Keep On Moving(ダンシング・ロンリー・ナイト)」「You Are A Teaser(君に会いたい)」といったジャガーズのカヴァーも収録されています。これらは、日本語ではなく英語で歌わており、「Space Fever」以外はスペースディスコというよりも、ミュンヘンディスコ調。時代の間に埋もれてしまったCosmic Gal、なんだか愛おしくも感じます。