リード質問とフリー質問を組み合わせながら、見込客から何らかの回答を引き出すことができたら、次に行うべきなのが「リピート」です。
見込客の発言を繰り返すことで論点を整理し、共感を深めることが可能となります。
目的は、見込客の信頼をつかむ
適切な「リピート」を行うことで、見込客の信頼をつかみやすくなります
では営業トークを行う際、何のためにリピートを行うのでしょうか?
答えは簡単。「見込客の信頼をつかむため」です。
人間というのは、基本的に自分の話をちゃんと聞いてくれる人のことを好きになるもの。タイミングよくリピートを行うことで、「私はちゃんとあなたの話を聞いていますよ」「私はちゃんとあなたの話を理解していますよ」といったサインを相手に伝えることができるのです。
見込客の心理状態を見極めながら、「この人は、ちゃんと話ができる相手なんだ」と感じてもらえるようなリピートを心がけましょう。
では、どのようなリピートを行うと良いのでしょうか? 例として「飲食店向けのホームページを作成する」というサービスを営業しているものとして説明してみます。
まず最初の段階では「おうむ返し」を
質問に答えてくれた見込客の言葉を、そっくりそのまま繰り返すのが「おうむ返し」です。
例えば「なるほど。ホームページを更新したいけど、外注コストが高いので難しい、ということですね」「○○様ご自身も忙しいため、ホームページについての勉強をしたり、自ら更新したりする時間を取るのが難しい、ということですね」といった感じです。
相手の言葉を単純に繰り返すだけなので、これといったテクニックは要りません。
このおうむ返しをすることで、見込客は「自分の話に聞く耳を持っている」「自分の話がちゃんと伝わっている」と感じ、質問に対してより積極的に答えてくれるようになります。
おうむ返しを3回行ったら、「まとめ返し」を
おうむ返しを何回か行い、見込客の気持ちが和らいできたら、次に行うのが「まとめ返し」。相手のニーズや発言を要約して繰り返します。
一つの目安として、おうむ返しを3回行った後で、まとめ返しを1回行うぐらいが良いでしょう。
例えば「ホームページを更新するうえでは、外注コストの高さやご自身の忙しさなどがネックになっている、ということですね」といった感じです。
このまとめ返しをすることで、見込客は「自分の話をしっかり理解している」と感じ、より好感を抱いてくれるようになります。
まとめ返しを3回行ったら、「くみ返し」を
まとめ返しを何回か行い、見込客の心をつかんだ手応えが得られたら、最後に行うのが「くみ返し」。相手の発言の意図をくみとり、自分自身の言葉で返すことによって、新たなニーズや掘り起こします。
一つの目安として、まとめ返しを3回行った後で、くみ返しを1回行うぐらいが良いでしょう。
例えば「コスト的な負担が小さく、手間もほとんどかけないやり方でホームページが更新できるのであれば、検討の余地はある、ということですね」といった感じです。
このくみ返しこそ、自社商品やサービスに見込客をグイッと引き寄せる重要なポイントです。「自分の話をしっかり理解したうえで、役に立つ提案をしてくれる」とポジティブに受け取ってもらえるよう、細心の注意をはかりましょう。
まとめ返しやくみ返しを早い段階で使ってはダメ
まとめ返しやくみ返しは、非常に効果的なテクニックですが、商談の早い段階で使ってしまうと逆効果となる危険性が高いものでもあります。
あなた自身が誰かに質問されて、回答している姿を思い浮かべてみてください。
あなたが数分間にわたって一生懸命説明したのに対して、「かいつまんで言えば、○○ということですね」「要するに、あなたは○○したいんですね」と言われたら、どうでしょうか?
多くの人が、「必要だから順を追って説明しているのに、勝手に省略しないでくれ」「私の気持ちや考えを、なんであなたに決めつけられないといけないの?」といった気持ちになるのではないでしょうか。
おうむ返しによって、見込客がある程度まで心を開いた状態になったのを見はからってのまとめ返し。まとめ返しによってそれなりの信頼を得たタイミングでのくみ返しを行うことが、リピートを行ううえでの秘訣です。
「まとめ返し」はもちろん、「くみ返し」はここぞというときに使いましょう
リピートの後には、「証明」という重要な作業を行うことになります。
この証明については、別記事でご紹介します。
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