マグナ・グラエキアの世界がここに!ペストゥムのギリシャ神殿群
南イタリア・カンパーニア州、サレルノ県にあるペストゥム(Paestum)には、1998年にユネスコ世界遺産に登録された古代ギリシャ神殿群の遺跡と考古学博物館があります。
ペストゥムの語源は、紀元前560年ごろ、ここに「ポセイドニア(海の神ポセイドンの町)」があったことに由来します。古代の南イタリアは「マグナ・グラエキア(大ギリシャ)」の地で、ペストゥムの名は、古代ローマ時代から。町はかつて城壁に囲まれており、今でもその城壁は一部健在で、国鉄のペストゥム駅からアクセスする場合は、城壁の見学も同時にできてしまいます。駅から城壁をくぐりぬけて続く一本道を行けば、古代都市ペストゥムの遺跡へ辿りつき、ここにはかつての都市の遺構の円形劇場や、ドーリス式のギリシャ神殿が3つ残っています。
最も豪快なネプチューンの神殿
その中で最も保存状態がよく残っているのが「ネプチューンの神殿」で、神殿の二重構造の様子もよく分かり、さらに内側の構造体は二層式なので、ドーリス式の列柱の豪快さが一際目立ちます。すぐ横にあるプロナウス(三角破風)のない神殿は、ゼウスの妻に捧げられた「ヘラの神殿」。柱の数もひときわ多く、町の行政を司る建物「バジリカ」とも呼ばれています。これら二つの神殿と少し離れた位置にあるのが、「ケレース(地母神)の神殿」で、規模は比較的小さくなっています。
遺跡の横にある考古学博物館も必見!
ペストゥムの神殿の遺跡が再発見されたのは、古代美術が礼賛されていた18世紀。1746年、建築家のマリオ・ジョッフレードの功績によって、たちまちペストゥムもグラント・ツアー(貴族・文化人の大旅行)の必須訪問地の一つになりました。ローマで活躍する版画家ピラネージは、ペストゥム遺跡の版画集を1778年に出版、ドイツの文豪ゲーテも1787年に足を運びました。一方、ペストゥムのネクロ―ポリ(墓地のある地区)の発掘が行われたのは20世紀になってから。1960年代にフレスコ壁画のある墓用の石版が数多く出土し、遺跡の横にある国立考古学博物館に保管されています。
なかでも最大の目玉とされているのが、墓を構成する石版の内壁に描かれた「水に飛び込む男」の絵ですが、他にも様々な美しい絵柄があるので、遺跡(だけなら無料でも見られます!)を訪れた際は、合わせて博物館の見学も行うとよいでしょう。
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■Museo Archeologico Nazionale di Paestum(ペストゥム国立考古学博物館)
住所:Via Magna Grecia, 919 - 84063 Capaccio (SA)
TEL:+39 0828 811 023
入館料:7ユーロ
営業時間:9:00~19:30(博物館)、9:00~日没の1時間前(遺跡)
休館日:第一・第三月曜日、1月1日、5月1日、12月25日
アクセス:ナポリから車で約1時間半。ナポリ中央駅から電車で約1時間15分、ペストゥム駅下車徒歩約5分。