ジャズとは? ロックとの違いって? 簡単にわかる、リズム以外の違い!
ジャズとは? ジャズとロックの違い!
<目次>
ジャズとロックの違い・特徴1:主役が違う 歌メインと楽器メイン
「ロック」は、アメリカにおいて1950年代から爆発的にヒットし、そのまま世界中に広まりました。そしてその萌芽は1940年代からすでに見られました。現在、初めてのロックと認められているのが、1945年のアースキン・ホーキンス楽団による「カルドニア」です。erskine hawkins caldonia
ビル・ヘイリー・アンド・ヒズ・コメッツ
チャック・ベリー
リトル・リチャード
エルヴィス・プレスリー
一方ジャズは、ルイジアナ州のニューオリンズに1900年頃から始まったとされ、100年以上歴史がある音楽です。当然、当初はロックへの影響も与えていましたが、ロックはブルースとカントリーから直接的に流れを受け、ジャズとの縁を切りました。そして、8ビートという普遍のリズムを手に入れたことによりスタイルが確立、巨大化しました。ジャズからみれば、亜流のように思っていたロックが自分たちよりも大きくなってしまったようなもの。複雑な思いはあったかもしれません。
ロックとジャズの大きな違いは、主役の違いです。ロックはブルースとカントリー直系ですので、当然ですが歌が主役。次第にバンド単位が主流になっていくロックですが、歌が中心なのは変わりません(もちろんプログレッシブ・ロックなど一部の例外はありますが)。そしてジャズは楽器演奏が主体。ジャズはモダン期に入り、サウンドもより難解で高度なものに変わっていきます。それでも、楽器が主役なのは変わりません。ここが大きく違います。ロックは「歌中心」、ジャズは「演奏中心」と覚えればOKです!
ジャズとロックの違い・特徴2:リズムが違う 8ビートと4ビート
ロックとジャズは、大きく違うのが基本のリズムです。ロックはブルースの影響で三連の中抜きと言われるシャッフルビート、それと何と言ってもロックの代名詞ともいえるようになった8ビートです。ジャズは多くがスウィングと呼ばれる4ビートです。ロックもジャズも、1小節に4つの音は変わりません。簡単に言えばシャッフルは「タッカタッカタッカタッカ」という感じで中抜きでハネるのが特徴。8ビートは「ズズタタズズタタ」と、4つの音をさらに半分の8つにした、ハネない8つの音。ジャズは「ツンツンツンツン」とハネない4つの音が基本。
もちろん、「ジャズ・ロック」と言うジャンルもありますので、ジャズにも8ビートの演奏は沢山あります。でも、それはロックから逆に影響を受けたということです。その上、ロックは8ビートが基本なために、ブルースやカントリー以上にリズム隊は重要になりました。ギターはもちろんリズムを支えるベースとドラムの存在はマストなものに。そして、次第に自分たち独自の8ビートの乗りを重視するため、バンド化していったのです。
同じく、ジャズは、歓楽街でのBGMやダンスミュージックとして発達し、2ビートやシャッフルなどもありましたが、ビバップの誕生とともにモダン・ジャズ期に入り4ビートが定着します。基本ロックは8ビート、ジャズは4ビートと覚えればOKです。この違いは聴けばすぐにわかるほど大きなものです。
ジャズとロックの違い・特徴3:影響力。売れる音楽と売れない音楽
ロックはアメリカにおいて爆発的にブームを呼び、その波はヨーロッパはもちろん全世界にも及びました。多くの外国の若者がロックに影響を受け、独自のロックを追求することになったのです。特に言語が同じイギリスでは直接的に影響を受け、顕著にその傾向が現れました。その結果、ローリングストーンズ、ザ・フー、アニマルズなど多くの世界的なロックバンドを輩出、独自のロック文化を謳歌しました。その結実ともいえるのが、田舎の港町だったリバプール出身のバンド「ザ・ビートルズ」です。
現在においても最も世界で有名なバンド「ザ・ビートルズ」は1960年代のロック界はのみならず、ポピュラー音楽シーン自体を象徴する最大のアイコンです。そのスーパーロックバンドが1964年にアメリカに上陸。海を越えてイギリスまでいったアメリカ生まれのロックが、最大の孝行息子の帰還を迎えたというわけです。ロックはここにきて、あらゆる音楽業界の中でも一番売れる音楽となったのです。
反対にジャズは、1964年当時は、フリー・ジャズが猛威をふるっていた時代。ケネディ大統領の暗殺など社会情勢も不安定な時代にあり、シリアスで難解な音楽は受けいられない状態にありました。
最高に売れる音楽と売れない音楽。悲しい現実ですがこの点が、大きく違います。とはいえ、ジャズも「モード」を経て、その方法論や楽理は、姿を変え音楽シーンに影響を与えています。ポピュラー音楽はもちろんジェイムズ・ブラウンに代表される「ファンク」やさらに後年の「ヒップホップ」などにもその影響を見ることが出来ます。
これぞ、ロック! 一度は聴いたことがある名曲収録のおすすめ名盤
ジャーニー・グレイテスト・ヒッツ
60年代になってイギリスよりビートルズを筆頭にブリティッシュ・ロックを逆輸入される形になったアメリカのロック界。70年代になると、巻き返しのようにアメリカン・ロックが花開くことになります。イーグルスやドゥービー・ブラザーズ、エアロスミスやキッスなど代表的なバンドが活躍します。
そして、80年代に入り注目されたのが、今回ご紹介するジャーニーです。ジャーニーはサンフランシスコから登場したロック・バンド。70年代初頭から活動していましたが、当初は楽器演奏が主体のプログレッシブ系とあって芽が出ませんでした。
それが、高音にハリのあるスティーヴ・ペリーという稀有のヴォーカルの加入し、一気にヒットを連発。特に80年代に入ってすぐの3年間位は飛ぶ鳥を落とす勢いで、最高にカッコイイバンドになりました。
当時大学でジャズ研だった私ですが、ジャーニーの勢いはリアルタイムで感じていました。このベスト盤にも、最大のヒット曲で日本でも有名なバラードの「オープン・アームズ」(ドラマ「海猿」の挿入歌)や爽やかな「ドント・ストップ・ビリーヴィン」など大好きな曲が入っており、極めつけは、この「セパレート・ウェイズ」です。ザクザクと進むリズム隊の刻みに乗って、これしかないというギターのリフが印象的。スティーヴ・ペリーのカッコよさ全開のおすすめの演奏です。
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Raindances
キャメルは、イギリスのプログレッシブ・バンドの中でも特にビッグネームではありません。目立ったヒットもなく、スーパースターのいないバンドですが、どこか気になる存在です。それというのも、73年のデビュー作はさすがに違いますが、76年の4作目「ムーンマッドネス」から79年の「アイ・キャン・シー・ユア・ハウス・フロム・ヒア」までは、ほぼリアルタイムで発売されるたびにレコード店で購入していた思い出のバンドだからです。
当時は多感な中学から高校の時期。バンド=不良みたいな価値観がまだまだあった時代です。背伸びをしてロックのアルバムを聴き、プログレッシブ・ロックを知りました。そして、ややムリをしてピンクフロイドやエマーソン・レイク&パーマーなどを聴いていました。
それでも、やはりジャケットや音楽自体の世界観がどうにも気持ちが悪く、かといって、進歩的な連中が夢中になっていたフュージョン・バンドのウェザー・リポートは理解できずに、諦めかけていた時に出会ったのがこのキャメルだったのです。
それからは、キャメルに夢中。毎年のように新作が出るのが楽しみになりました。思春期の熱病のような状態だったのかもしれません。大学に行くようになってからは、一気にジャズにのめり込んだので、いつしか忘れてしまっていました。それが何年か前にふとCDを見つけ買ってみたら、懐かしさといまだに古びていない新鮮な感性に驚いたものです。特にジャズの4ビートに慣れた耳には、プログレッシブ・ロックの変拍子は逆に新鮮に聴こえてきます。思わず、次々とCDで買い直しをしてしまいました。
今回ご紹介するのは、そんな地味ですが思い出のバンド、キャメルの77年5作目「レインダンシズ」の1曲目「ファースト・ライト」です。ここでは、アルトサックスのメル・コリンズがゲスト参加しています。77年といえば、ジャズ界ではフュージョンの黎明期にあたり、その新しい潮流はイギリスにも届いていたはず。
サックスを加えるという試みもそうですが、ジャズ畑のサックスとは一味違うロック系で、しかもリリカルなプレイに思わずはっとさせられます。そして、メルのサックスは最後の最後に美味しいところを持っていくという展開です。
イギリスで発展したプログレッシブ・ロックと、アメリカで発展したフュージョンがひとつになった、ロック側、ジャズ側どちらからも支持される稀有な演奏と言ってよいでしょう。青春時代の私が陶酔した、キャメルの持つファンタジーっぽさ全開の、代表的演奏です。
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ヘヴィ・メタル・ビ・バップ
70年代になってジャズの主流となりつつあったフュージョンは、ジャズとロック、そしてラテンのテイストといった音楽が文字通りフュージョン(融合)し、出来上がったジャンルです。その前身は60年代の「ジャズ・ロック」。それが70年代に入り「クロスオーバー」と呼ばれるようになり、より洗練されて「フュージョン」という言葉で言い表されるようになりました。それぞれの音楽の良い所が混ざり合って、融合したフュージョン界。サウンドはより聴きやすく耳障りの良い音楽への傾向が強かったのもフュージョンの特徴です。
そんなフュージョン界にあって、あくまでもテクニック至上主義の男くさい演奏に向かったのが、今回ご紹介するザ・ブレッカー・ブラザーズです。ザ・ブレッカー・ブラザーズは、フュージョンを代表するテクニックを誇る兄弟。トランペットの兄ランディとテナーサックスの弟マイケルです。二人は、息もぴったりあった仲良しの兄弟の上に、その音楽は過激なことでも有名でした。
まずは、このジャケットを見てください。これだけでも、只者ではないことがわかっていただけると思います。このフルフェイスをかぶった宇宙人のような格好をしているのが、後にジャズ界の巨匠とまで呼ばれるようになるテナーサックス奏者マイケル・ブレッカーその人です。
若気の至りといえば一言ですが、当時の彼らが目指した演奏が、普通の感性の音楽でないことはお分かりいただけると思います。ジャズとロックの融合ではなく、むしろ格闘といったほうが的確かもしれません。
「インサイド・アウト」はシャッフルで、ジャズのFブルースのフォーマットに乗っかった構成ですが、一聴ジャズとは思えないほどの気持ちのよいロックっぷり。思わず笑ってしまうほどに精神がロックなのには、わけがあります。
ギターのバリー・フィナティ、ドラムのテリー・ボジオ、ベースのニール・ジェイソンというバックのメンバーがチャキチャキのロックミュージシャンだからです。そしてフロントとリズム隊がお互い程よく中庸を行くのではなく、正面からぶつかる中で、その齟齬感がストレートに音楽として出てくる。その半端ではないむき出しの異種格闘技感が強烈にロックを感じさせるところでもあり、このバンドの面白みでもありました。
即興的なアドリブに懸けるジャズと、ありのままの思いのたけをぶつけるロックの精神が、真の意味でフュージョンした作品になっています。おすすめです。
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