カタチだけでは決められないが
ここ数年というもの、世間がスポーツカーの話題で盛り上がることなど久しくなかったわけだけれども、今年はどうやら様子が違うよう。官製“アベノミクス”相場で株価が2倍となって、少しは余裕のある人も出てきたからなのだろうか。クラシックスポーツカーに注目が集まり、国産からも新型マツダロードスターやホンダS660といった“威勢のいい”スポーツカーが登場するに及んで、近年にない活況を見せ始めている。
スポーツカーとは何か。一概にカタチだけでは決められない時代になった。流麗な2ドアスタイルであってもまるで“スポーツ”できないモデルもあるし、4ドアの背高クロスオーバーSUVスタイルでも存分に“スポーツ”できるモデルだってある。本質的には“運転していて楽しいクルマ”であって、“その楽しみをグレードアップするために運転テクニックの向上を必要とするクルマ”であり、なおかつ、“運転テクニックの向上に不可欠な走行シーンにおいてある程度の耐性のあるクルマ”、となるだろう。
伝統的に、そういうスポーツカーには、2ドア2シーターのものが多い。基本的にはMR(エンジンミッドシップ・後輪駆動)、FR(エンジン前置き・後輪駆動)およびそれらをベースとした4WDであり、コンパクトカーの世界ではFFおよびFFベースの4WDにも充分スポーツできるモデルが存在する。
今回は、身近で実用的なハッチバックスタイルのスポーツカーと、2シーターの本格スポーツカーの中から最新モデルを選び出し、クラス別に論評してみた。