ミュージカル/ミュージカル・スペシャルインタビュー

ミュ映画誕生!角川裕明・上口耕平・染谷洸太に聞く

『エリザベート』等で活躍中の俳優、角川裕明さんが、「日本にミュージカル映画を!」と、自らメガホンを取っていることをご存知でしょうか。短編第一作は映画賞を受賞するなど高い評価を受け、近日長編第一作がダウンロード上映されます。なぜ「ミュージカル映画」なのか。出演の上口耕平さん、染谷洸太さんとともに熱い思いを語っていただきました。

松島 まり乃

執筆者:松島 まり乃

ミュージカルガイド

『蝶~ラスト・レッスン~』

『蝶~ラスト・レッスン~』

「ミュージカル映画」といえば、最近では現代版『アニー』が記憶に新しい、ハリウッド映画の人気ジャンル。しかし日本の映画界では、「ミュージカル映画」をうたう作品はまだほとんどないのが実情です。

そんな中で、『エリザベート』『オーシャンズ11』等に出演しつつ、ミュージカル映画監督としても活動を始めたのが角川裕明さん。短編映画が映画賞を受賞するなど高い評価を受け、6月1日からは長編ミュージカル映画第一作『蝶~ラスト・レッスン~』のダウンロード上映が始まります。なぜ「ミュージカル映画」なのか、撮影の過程でどんな発見があり、今後に向けどんなビジョンをお持ちなのか。本作に出演している若手ホープのお二人、上口耕平さん、染谷洸太さんにも加わっていただき、「モノつくり」への思いをうかがいました。


“日本人に親しみやすいミュージカル映画”の手法とは

――角川さんがミュージカル映画を撮り始めるにあたっては、「映画を撮りたい」という思いと「ミュージカルの映画を撮りたい」という思いの、どちらが出発点だったのでしょうか?
角川裕明undefined74年埼玉県生まれ。広告代理店を経て俳優に転身し、『レ・ミゼラブル』 『CHESS In Concert』『オーシャンズ11』『ファントム』等に出演。ミュージカル映 画『ユメのおと』で映画監督デビューし、SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2012短編部門 グランプリを受賞。ミュージシャンとしても活躍している。(C)Marino Matsushima

角川裕明 74年埼玉県生まれ。広告代理店を経て俳優に転身し、『レ・ミゼラブル』 『CHESS In Concert』『オーシャンズ11』『ファントム』等に出演。ミュージカル映 画『ユメのおと』で映画監督デビューし、SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2012短編部門 グランプリを受賞。ミュージシャンとしても活躍している。(C)Marino Matsushima

角川「完全に『ミュージカル映画を』というのが出発点ですね。ある時、日本にはミュージカル映画のスタンダードがないことに気が付いて、だったら自分で作ってみたいと思ったんです。

映画の作り方を勉強していたわけではないのですが、僕はもともとミュージシャンになりたくてサラリーマンを辞め、ミュージカルに出演するようになった経緯があるので、音楽のPVはよく観ていました。PV的な映像と日本のミュージカルをうまくミックスすれば、日本人が受け入れやすいミュージカル映画を作れるのではないか。自分だからこそ撮れるものがあるかなと思って、まず『ユメのおと』という短編を作ったんです」

――SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2012年の短編部門で、最優秀作品賞を受賞した映画ですね。歌の入り方が自然で、心のつぶやきが歌になっているような作品でした。

角川「ミュージカルって欧米の文化というか、急に踊りだして急に歌いだすというイメージがありますよね。日本人の中にはそれに抵抗があるという人がいっぱいいて、それを逆手にとって急に歌いだすことによって笑いをとるようなミュージカル映画も存在するくらいです。そんな中で日本のミュージカルを成り立たせるには、おっしゃったように心のつぶやきであるとか口笛であるとか、“静”の部分から入って行くといいのかなと思いました。
『蝶~ラスト・レッスン~』

『蝶~ラスト・レッスン~』

最初の入り方はとても大事なので、今回の『蝶~ラスト・レッスン~』では、オープニングの音楽のように見せかけて出演者に歌わせるといった映画のトリックを使いました。そういうPVの創り方などを取り入れながら、オリジナリティのある作品に仕上げたつもりです」

――今回の『蝶~ラスト・レッスン~』は、有名な女流演出家の新作稽古に集まった若い俳優たちの群像劇。台本も何も渡されず、「さあ、やってみて」と言われて困惑しながらも、俳優たちはコミュニケーションを重ねながら、真の自分の姿を現し、それぞれに抱えた問題にも向き合うという物語ですね。いわゆるバックステージものを選んだ理由は?

角川「脚本家と構想を話し合っていたなかで、僕としては“家族を切り取ったものを撮りたい”と話したんです。今回も人物それぞれに家族の問題があり、それぞれ何か気づきがあって前を向いていく話にしようと。例えば犯罪を犯してしまった人たちが更生プログラムで……というような案もありましたが、最終的に脚本家がバックステージものという形にしてくれました」

*次頁で上口耕平さん、染谷洸太さんにも本作談義に加わっていただきます!

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