絵本

小さな虫の大きな冒険物語『だんごむし そらをとぶ』

空に憧れ自由に空を飛びたいと願ったのは、人類だけではありません。「空を飛ぶ」という夢に挑んだだんごむしがいました。「そらとぶマシン」を作り空をめざした彼の運命やいかに? ドキドキ満載の愉快な物語をご紹介します。

執筆者:大橋 悦子

大きな夢を追っただんごむしのお話『だんごむし そらを とぶ』

大空を飛びたい! 人類は大昔からそんな夢を追いかけ実現させました。でも、大空を飛びたいと思ったのは、人類だけではありません。『かもめのジョナサン』もハリー・ポッターも、「より高く より早く」を目指して飛行訓練に明け暮れましたね。そして、今度はここに「空を飛ぶ」という壮大な夢にチャレンジするだんごむしが現れました。努力と研究を重ねるだんごむしは、はたして夢を叶えることができるのでしょうか?

実験、筋トレ、失敗、全ては空を飛ぶために!

『だんごむし そらを とぶ』の表紙画像

空を飛ぶことに憧れるだんごむしを待ち受ける様々な困難とは……

早速、主人公のだんごむしくんをご紹介しましょう。彼は他のだんごむしたちと同様にとても怖がりで、びっくりするとすぐに真ん丸になってしまいます。でも、他のだんごむしと違っていることが1つありました。それは、彼が大変な努力家だったということです。

だんごむしくんは、空に憧れ、いつか大空を飛びたいと夢見ていました。どうすれば空を飛べるのかをいつも考えていて、タンポポの綿毛を足に付け大きなキノコの上から飛び降りたこともありました。でも、結果は……残念ながら、みなさんのご想像の通りです。

ところが、そんなだんごむしくんに素晴らしいアイデアが閃めきました。羽があればいいんだ! そこで彼は、クモから譲り受けたトンボの羽をもとに「そらとぶマシン」を作り上げたのです。しかも、だんごむしくんの努力はそれだけでは終わりません。グングン飛べるようにと、ドングリのバーベルを用いて筋トレに励みます。そんなだんごむしくんの努力が実を結び、彼はついに大空へと羽ばたいてゆきます。

「そらとぶマシン」の想像写真

「そらとぶマシン」ってこんな感じ? いいえ、もっとシンプルでカッコいいです!

ここから先は、読者も彼と一緒に空を飛んでいきましょう。夕立にあったり、シジュウカラに襲われたり、小さなだんごむしくんの大きな冒険はハラハラ・ドキドキの連続です。しかも、描かれる昆虫や植物は程よく写実的で見ごたえ充分なので、自分が小さくなって虫たちの世界に入り込んだような不思議な感覚を味わえます。自然科学の絵本で、「絵本にっぽん賞」や「厚生児童福祉文化賞」など数々の絵本賞等を受賞している松岡達英さんだからこその作品といえますね。

さて、夢を実現しただんごむしくんですが、空を飛んだからこそわかったこともあるようで、お話はだんごむしくんの成長を感じさせながらエンディングを迎えます。この、とても気持ちの良い爽やかな結末も読者のみなさんにきっと気に入っていただけることでしょう。

そして、もしまた、みなさんがだんごむしくんに会いたくなったら、『だんごむし うみへいく』や『だんごむしと 恐竜のレプトぼうや』をご覧ください。だんごむしくんのガールフレンドや仲間たちも登場する愉快な冒険が、みなさんを待っています。


【書籍DATA】
書籍名:だんごむし そらを とぶ
作:松岡達英
価格:1620円
出版社:小学館
推奨年齢:4歳くらいから
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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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