今の日本ではチャイルドシートを2脚以上セットするのは難しい
2リッター5ナンバーミニバンのメインユーザーは、チャイルドシートを2つ使うようなファミリー層だという。実際、ディーラーに新型ステップワゴンを見に来る人の多くが、2人以上のお子さんを育てているそうな。確かに今の日本の法規でチャイルドシートを2脚以上セットしようとすれば、なかなか難しくなってくる。
なぜか? チャイルドシート1つなら、後席のどちらかにセットすればOK。しかし2つキチンと安全にセットしようとすれば困ってしまう。どんなタイプのクルマであっても、助手席エアバッグのカットスイッチを装備していない日本車の場合(大半の欧州車は助手席にもセット可能)、チャイルドシートは2列目にセットするしかないのだ。
ちなみに3列目は安全性高いISOFIXの固定具どころか、チャイルドシートをセットするためのロック機能すら無し。そもそも追突事故を考えた場合、クラッシャブルゾーンが短い3列目シートは最も危険である(日本の安全基準だと追突試験は不要)。追突で火災になり、3列目シートのお子さんが亡くなるという痛ましい事故は少なくない。
左右にセットした2列目チャイルドシートの間に大人が座れる
100歩譲って幼稚園くらいの子供であれば、2列目シートに2人並んで座らせておけば良い。ケンカしても叱ればよかろう。しかし、様々な状況でむずがる乳幼児は、隣に誰か座らないとダメ。すると左右にセットしたチャイルドシートの間に座らなければならないのだった。幅が狭いクルマなら相当細い人でないと物理的に無理。新型ステップワゴンならどうか? オプション設定のベンチシート仕様を選ぶと、2列目シートは左右それぞれにISOFIXタイプのチャイルイドシートをセット出来、その上で多少狭いものの中央席に誰か座れる。さらに助手席と3列目が空くから、3世代が同乗しての移動まで出来てしまう。お爺さん世代がお金を出すケースも少なくないとか。
チャイルドシートを3セット付けようとしたらどうか? 残念ながら現行の日本車だとチョイス無し。助手席にセット出来る(助手席にもISOFIXのアタッチメントが付く)欧州車を選ぶしかありません。新型ステップワゴンを見て「日本車もチャイルドシートを3セット付けられる車種が一つくらいあってもいいのに」と思う。
以上、新型ステップワゴンというより、複数の子供を乗せる、という観点でガイドしてみました。参考までに書いておくと、事故を未然に防ぐための自動ブレーキ性能も、このクラスではステップワゴンが最も優れている。最も売れているトヨタのノア/ヴォクシー/エスクァイアだと自動ブレーキの設定そのものが無い。ドライバーのミスをカバー出来る可能性を持つ自動ブレーキは重要だと思う。
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