「実は間違ってる? 正反対の意味を持つ言葉ベスト7」
思い込みをなくして見直すことで、うっかり誤用も防ぐことができますね
前後の話や言い方で理解できることもありますが、同じ言葉であっても、自分と相手とでまるっきり逆の解釈をしてしまったために、うまく伝わらなかったり、誤解されてしまったりする恐れもあります。
手紙や話し言葉で日常何気なく使っている言葉の中にも、うっかり間違いがひょっとしたら潜んでいるかもしれません。
よく使う言葉を見直してみましょう。
次の言葉の意味は、○×どちらでしょうか?
Q1 「首をすくめる」
恥ずかしくて顔を見せられない思い、照れくさいような様子。
Q2 「悪びれない 」
偉そうな態度で、自分の悪事をまったく悪いとも思わない様子。
Q3 「失笑」
思わず笑い出してしまう。おかしさのあまり噴き出してしまうこと。
Q4 「浮き足立つ」
楽しいことやうれしいことがあって浮き浮きする様子。
Q5 「うがった見方をする」
疑って掛かるような見方をすること。
Q6 「済し崩し(なしくずし)」
あいまいであったり、何となくいい加減であったりする様子。また、徐々に崩れて悪くなっていくさま。
Q7 「曲のさわり」
曲の出だし、最初の部分のこと。
では、正解を見てみましょう。
解答と解説
Q1 「首をすくめる」
不正解です。×:恥ずかしくて顔を見せられない思い、照れくさいような様子。
○:正しくは、驚きや恐れでからだの自由がきかなくなるという意味です。
からだを縮めるというしぐさとしては、通じるかもしれませんが、恥ずかしさからではなく、驚きや恐怖、不安といったものからですので、その点はまったく違ってきますね。
Q2 「悪びれない 」
×:偉そうな態度で、自分の悪事をまったく悪いとも思わない様子。
○:正しくは、「悪びれる」とは、恐ろしさのために気後れがしたり、恥ずかしがったりすること。卑屈な振る舞いをしたりすることという意味をもちます。
多く「悪びれない」「悪びれた様子もない」などのような形で使われます。卑怯、潔さがないという点で、平気=悪事を働いても悪いとも思わない のようにとらえてしまいかねませんが、本来の意味は、気おくれしたり恥ずかしがったりすることがないという意味で、「悪びれた様子もなくハキハキ答えた」などのように使います。
Q3 「失笑」
正解です。○:思わず笑い出してしまう。おかしさのあまり噴き出してしまうこと。
×:誤用として、あきれて笑いも出ないというような解釈も多いようです。正解は全く逆で、我慢していても笑いが出てしまうという意味です。
Q4 「浮き足立つ」
不正解です。×:楽しいことやうれしいことがあって浮き浮きする様子。
○:正しくは、不安や恐れで落ち着いていられなくなる、逃げ腰になるという意味です。
落ち着きがなくなるという点では共通ですが、ウキウキワクワクという楽しさのあまりではなく、不安や恐れです。「浮き浮きして落ち着かなくなる」の意味で使うのは誤りなので注意したいですね。
Q5 「うがった見方をする」
不正解です。×:疑って掛かるような見方をすること。
○:正しくは、物事の本質を捉えた見方をするという意味です。
疑った見方やひねくれた見方ということではなく、「うがつ(穿つ)」ように、突き抜く、物事の隠れているわかりにくい点を言い当てるという意味です。
Q6 「済し崩し」
不正解です。×:あいまいであったり、何となくいい加減であったりする様子。また、徐々に崩れて悪くなっていくさま。
○:正しくは、物事を少しずつかたづけていくこと。徐々に物事を行うことという意味です。
Q7 「曲のさわり」
不正解です。
×:曲の出だし、最初の部分のこと。
○:正しくは、「さわり(触り)」とは、曲の一番の聞かせどころの部分です。
話でいえば、肝心なところという意味です。こちらは取りあげられることが多い誤用例のひとつですね。
いかがでしたか? このように、日常何気なく使っている言葉の中にも見直してみますと、単に意味の違いというだけでなく、意味が正反対というものもあります。
Q3の「失笑」は、文化庁の平成23年度「国語に関する世論調査」では、「こらえ切れず吹き出して笑う」という本来の意味を選んだ人が27.7%、誤用である「笑いも出ないくらいあきれる」を選んだ人が60.4%という数字が出ています。
不安な言葉はときには見直して、うっかり誤用は防ぎたいものですね。
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