店舗&事務所を併設した二世帯住宅
最初に断っておきますが、今回の記事の内容は一般的な住まいづくりの事例ではなく、都市部の非常に高度な土地活用を可能にする建物の事例紹介となります。ただ、これも「『何でもできる』ということはこういうことですよ」という事例の一つです。部分部分では一般的な住まいづくりを考えている方でも参考になる部分がありますし、3階建て住宅を検討されている方には特に役立つはず。そんなイメージでお読みください。
このモデルハウスの概要は以下の通りです。
商品名=「ビューノ・プロ」
構造=重量鉄骨ラーメン構造
延べ床面積=568.05平方メートル
1階 99.92平方メートル
2階 94.78平方メートル
3階 115.15平方メートル
4階 109.48平方メートル
5階 86.38平方メートル
6階 62.34平方メートル
「ビューノ・プロ」は、店舗・事務所併用住宅として開発された商品で、7階建てまでに対応します。このモデルハウスでは1階がカフェ、2階は事務所、3階に賃貸住宅、さらに4~6階には自宅(4階=親世帯、5、6階=子世帯)が配置されています。
現在、相続税制の改正から都市部における敷地の有効活用、資産活用ニーズが高まっています。「ビューノ・プロ」はこのモデルハウスに賃貸住宅部分が設けられていることからわかるように、都市部の中心エリアにおけるあらゆるニーズに対応した建物なのです。
さすがに6階建てですから構造体の強度向上を図っていました。いわゆる「通し柱」は厚みを従来より約30%、梁の高さも約20%アップさせていました。この規格の通し柱は、住宅としてはパナホームが業界で初めて採用したものだといいます。
これにより、1階は最大9メートルの柱のない空間とすることができ、かつ3メートルのオーバーハング(建物が軒のように突き出たスペース)とすることができます。要するに、店舗などを設置するのに非常に都合が良い構造体なのです。
なぜ今、ハウスメーカーが6階建てを建てるのか
さて、ではなぜハウスメーカーが6階建てを建てるのでしょうか。このような中高層の建物は、一般的に地域のゼネコンが建設することが多いのがこれまででした。ただ、居住性が低く、デザインも単調になりがちになることが難点となっていました。街中によくある「ペンシルビル」をイメージすると分かりやすいでしょうか。パナホームのようなハウスメーカーが中高層の建物を建築すると、居住性が高く、かつデザイン性にも優れた建物とすることができるというのが重要ポイントです。
もう一つ大切なポイントがあります。それは施工費用と工期。このような規模の建物は従来、RC造(鉄筋コンクリート造)で建設することが一般的でした。しかし最近、RC造はコンクリート価格、現場での職人さんの賃金上昇で施工費用が大幅に上昇しています。
パナホームはプレハブ系ハウスメーカー、つまり工場で部資材を生産して、それを組み立てる仕組みを取り入れており、このため比較的、現場施工の量が少なく、かつ材料費などの上昇の影響を受けにくいのです。
また、RC造の施工現場では職人の確保が難しく、そのため工期が長期化している現状があります。ハウスメーカーでは、住まいづくりのため職人を常にある一定規模確保していますから職人不足になりにくく、そのため比較的短工期で建物を完成させられます。
このようなことから近年、今回のモデルハウスのような大きさの建物なら、RC造より重量鉄骨造の方にコストメリットが発生している状況です。次のページで、写真を中心にご紹介していきます。