一人旅の人気旅行先、京都
近年、一人旅を楽しむ人が確実に増えています。旅行大手JTBが2017年にまとめた調査によれば、一人旅を経験したことがあると回答した人は6割に上り、『じゃらん』が毎年実施している宿泊旅行調査によれば、調査を開始した2004年から2016年まで一人旅は毎年連続で増加し、2017年、2018年は前年度と同率で推移しています。
一人旅の人気旅行先は、やはり京都
そんな中で、一人旅の旅行先として人気なのが京都。
今回は京都の代表的なイベントとチケットの入手方法、京都の街の歩き方、宿についてのトピック、そして京都一人旅のおすすめプランなどをご紹介します。
【目次】
京都の代表的なイベント・チケット入手方法
京都では、年間を通して、大小様々なイベントが行われています。いわゆる観光名所めぐりに、イベントの観覧を組み合わせると、とても印象深い旅になると思います。京都で行われる主なイベントには、以下のようなものがありますので、開催日程にあわせて旅のプランを立ててみては、いかがでしょうか。【京都三大祭り】
「葵祭」(5月15日)、「祇園祭」(7月)、「時代祭」(10月22日)をあわせて「京都三大祭り」といいます。
※2019年の「時代祭」は、10月22日に、即位の礼の中心儀式「即位礼正殿の儀」が行われるため、10月26日に変更して行います。
祇園祭の山鉾巡行
中でも7月に行われる「祇園祭」は、丸々一ヶ月かけて行われる京都最大の祭りです。祭りのハイライト「山鉾巡行」は、2014年より、前祭巡行(7月17日)と、後祭巡行(7月24日)の二度の巡行が、半世紀ぶりに行われるようになりました。
三大祭りは、いずれも有料の特別観覧席(指定席)が用意され、事前予約が可能です(問い合わせ先:京都市観光協会)。いい場所で見ようとすると場所取りも大変ですので、観覧席の予約は価値があります。
なお、京都三大まつりについては、下記の記事で詳しく解説しています。
京都三大祭り(葵祭、祗園祭、時代祭)、日程と観覧のポイント
【京都五山送り火】
8月16日、京都の夏の夜を彩る「京都五山送り火」。東山如意ケ嶽の「大文字」がもっとも有名なため「大文字焼き」と呼ばれることも。
京都五山送り火
上で紹介した「三大祭り」に「五山送り火」を加え、「京都四大行事」と呼ぶこともあります。
【舞妓さんの舞いの公演「をどり」】
京都五花街(祇園甲部・宮川町・上七軒・先斗町・祇園東)での、舞妓さん・芸妓さんの舞いの公演「をどり」は、とても華やか。祇園甲部・宮川町・上七軒・先斗町の公演は春と秋に行われ、祇園東は秋のみ行われます。席は、事前予約が可能です(問い合わせ先:各歌舞練場)。
公演の日程は、各花街によって異なりますので、下記のページを参考の上、歌舞練場にお問い合わせください。
京都観光・京都タウン情報なら ざ・京都
また、「をどり」の公演シーズン以外で、手軽に「をどり」を見られるのが、祇園の一角にある「ギオンコーナー」という施設。
祇園小唄千鳥(写真提供:公益財団法人 京都伝統伎芸振興財団)
毎日、夕方の18:00~と19:00~の2回、日本の伝統芸能を紹介する約1時間の公演が行われ、京舞のほか、華道・茶道・琴・雅楽・狂言・文楽の7つの演目をコンパクトに楽しむことができます。
<DATA>
■ギオンコーナー
所在地:京都市東山区祇園町南側570-2 弥栄会館内
電話:075-561-1119
公演日時:毎日、18:00~と19:00~の2回(但し、12月から3月第2週目までは金・土・日・祝のみ)
アクセス: 京阪本線「祇園四条」駅から徒歩5分
地図:ギオンコーナーホームページ
なお、催し物・イベント・をどり(一部)のチケットは、京都駅ビル内にある京都総合観光案内所「京なび」でも入手可能です。
京都総合観光案内所『京なび』
「京なび」では、チケットの販売のほか、観光情報の提供なども行っているので、何か分からないことがあれば立ち寄ることをおすすめします。
<DATA>
■京都総合観光案内所「京なび」
所在地:京都駅ビル2階 南北自由通路沿い
電話番号:075-343-0548
京なびホームページ
京都の歩き方、通りの名前など
京都の市街地は、ほかの観光地に比べると、とても道が分かりやすく、歩きやすいと思います。というのは、「平安京」として街が造られたときに、碁盤の目のように東西南北に道が敷かれたのが、今も活かされているからです。京都観光ガイドマップ
北のほうから、一条、二条、三条、四条、五条…となっていて、これが、「四条通」「五条通」のように、主な通りの名前とリンクしています。ちなみに、有名な二条城は、二条にあります。
交差点名の標識
なお、東西に走る「四条通」と南北に走る「烏丸(からすま)通」の交差点は「四条烏丸(しじょうからすま)」、「河原町通」と「塩小路通」の交差点は「河原町塩小路」のようになっているので、自分が今いる場所を簡単に把握できます。以下を覚えておくと便利ですよ。
【東西に走る通り】
・八条通…京都駅の新幹線乗り場がある。
・四条通…周辺に八坂神社や祇園の花街、先斗(ぽんと)町、錦市場などがある。地下を阪急電車が走っている。
・御池通…二条と三条の間にあり、地下を地下鉄東西線が走っている。
【南北に走る通り】
・烏丸(からすま)通…京都駅から南北に京都市街のほぼ中心を貫く目抜き通り。地下を地下鉄烏丸線が走っている。
・東大路通(東山通)…京都市街地の東端を走り、通り沿いに三十三間堂や八坂神社、祇園の花街などがある。
・堀川通…烏丸通の西側をほぼ並行する。通り沿いに西本願寺、二条城などがある。
【四条通】2015年10月までの工事で、車線を減らし、歩道を広くして歩きやすくなった。その分、渋滞が激しくなり、バスの遅延はしばしば。
【京都観光のエリア】
京都市内は、大きく5つのエリアに分かれます。「洛中」「洛北」「洛南」「洛西」「洛東(東山)」の各エリアに、どのような見所があるのか、以下のリンク先を参考におおよそ把握しておくと便利です。
京都市観光エリアガイド
京都観光でよく使う交通手段
京都市内で、観光スポットをまわるときに上手に使うと便利なのが、地下鉄、市バス、「嵐電」の愛称で親しまれている京福電車です。【地下鉄】
京都の地下鉄は2路線だけなので、分かりやすいです。京都駅から「烏丸通」に沿って南北に走る「烏丸線」と、「御池通」に沿って東西に走る「東西線」があります。
地下鉄の車両
2つの路線は、烏丸御池駅で乗り換えることができます。
京都市営地下鉄 路線図
【市バス】
京都の市バスは路線が複雑で、観光客には分かりづらいといわれていましたが、市内を南北に走る主要な6つの通りにそれぞれ黄色や紫色などの「ラインカラー」を設定し、車両の行き先表示やバス停の表示にも同じ色を使う改善が行われ、分かりやすくなりました。
京都市バス
京都市バス 路線図
【京福電車(嵐電)】
嵐電の沿線には、人気観光エリアである嵐山・嵯峨野、映画村や広隆寺のある太秦(うずまさ)のほか、龍安寺、北野天満宮、平野神社などがあります。一部、路面電車区間もあり、風光明媚な沿線風景とあいまって人気が高いです。
『嵐電』の愛称で親しまれる京福電車
2016年4月1日には、嵐電の新駅「撮影所前」駅が、JR山陰本線の「太秦」駅から徒歩3分の場所に開業し、京都駅からのアクセスが便利になりました。
京福電車(嵐電) 路線図
京都一人旅の宿について
「京都」という観点と「一人旅」という観点から、京都一人旅の宿についてのトピックをご紹介します。【京都の宿は高い?】
まず、京都の宿の事情として挙げられるのが、インバウンド増加の影響などによる京都の宿の値段の高騰です。ビジネスホテルの素泊まりで、一泊二万円などというのも珍しくありません。
そこでおすすめしたいのが滋賀県の大津市の宿。JR線で大津駅から京都駅までは10分弱。また、京阪線(地下鉄乗り入れ)で浜大津駅から京都観光の拠点として便利な三条京阪駅までも約20分ほどです。
【一人旅は歓迎されるか?】
ホテルや旅館などの宿泊業界を見渡すと、一人旅を受け入れる環境は、まだ十分に整っているとは言いがたい状況があります。
ある大手シティホテルチェーンでは、1名でツインルームを予約した場合、「2名利用時の1名あたりの料金の1.7~1.8掛け程度」と、割高な料金設定になっています。また、温泉地などの日本旅館では、そもそも1名での宿泊を受け付けていない施設が多いのが現状です。
2019年春の定例プレス発表会で「一人旅」の重要性についても語る星野佳路代表
そんな中、旅館大手の「星野リゾート」は、「現在、一人旅の需要が増えているにもかかわらず、1名で旅行する人が宿を探しにくい状態があります。一人旅のお客様に対して、ウェルカムであるという姿勢を示すことが必要」(星野佳路代表)であるとして、2019年春より温泉旅館ブランド「界」でお得な一人旅プラン(「界のひとり旅」)を販売開始したほか、「星のや」など他のブランドでも個性的な一人旅プランを導入しています。
京都周辺で利用できる「星野リゾート」の一人旅プランとしては、下記があります。
<DATA>
■星のや京都
・「脱デジタル滞在~京文化と奥嵐山の四季に出会う~」
・「ご褒美ひとり旅24」
■ロテルド比叡
・「比叡山やくばらい散歩」
<参考>
急増する「お一人様」はホテルに歓迎されるのか(筆者記事)
そのほか、1名で予約可能な宿は、インターネットで簡単に探すことができます。例えば、大手宿予約サイト『じゃらん』で検索する場合、検索時に「人数」を条件として入力するので、1名予約が可能な宿のみを検索結果に表示させることが可能です。
京都一人旅のおすすめプラン
京都一人旅のおすすめプランを2つご紹介します。【もうひとつの京都】
近年、インバウンド増加の影響もあり、京都市内はオーバーツーリズム気味となっています。そこでおすすめしたいのが、『もうひとつの京都』です。
現在、京都府を中心に、京都市内だけでなく、京都府全体で観光促進しようという『もうひとつの京都』プロジェクトが進められています。具体的には、「海の京都」「お茶の京都」「森の京都」「竹の里・乙訓」という4つのエリアを定義して、各エリアの魅力を発信しています。
海の京都:日本三景の一つ「天橋立」などのある、日本海に面した京都府の北部地域
お茶の京都:宇治茶の名産地として名高い南部地域
森の京都:かやぶきの家が立ち並び日本の原風景を残す中部地域
竹の里・乙訓:清らかな竹林や歴史的文化遺産が多く残る西南部地域
京都府最南の抹茶色のエリアが「お茶の京都」(出典:京都府観光パンフレット 京都旬遊)
今回、紹介するおすすめプランは「お茶の京都」に含まれる和束(わづか)町の茶畑ハイキング&茶摘みツアーです。
和束町は、天まで届きそうな段々畑の茶畑が広がる京都府南部の町で、茶畑ハイキング、サイクリング、茶摘み体験などのツーリズムに力を入れています。
京都府南部の和束町に広がる茶畑
茶畑ハイキング
摘んだ茶葉が天ぷらに
茶葉の挽き臼体験
同町でカフェを運営する「d:matcha Kyoto」が開催しているツアーの主な内容は以下の通りです。
・段々畑になっている茶畑の中を片道一時間かけてハイキング
・目的地の茶畑に到着したら、茶摘み体験
・自分で摘んだ茶葉をカフェに持ち帰り、天ぷらにしてもらい試食
d:matcha Kyoto CAFE & KITCHENで体験できるアクティビティ・企画一覧
【歴史遺産・琵琶湖疏水を舟下り】
明治時代に東京への遷都により衰退した京都を復興するために引かれた琵琶湖疏水(そすい)は、水力発電、防火用水、水道として使われたほか、運河として人や物を運びました。
67年ぶりに復活した「びわ湖疏水船」
びわ湖疏水船の船内
琵琶湖疏水の舟運は長い間途絶えていましたが、2018年秋に実に67年ぶりに復活。「びわ湖疏水船」と名付けられ、春と秋の一定期間のみ、滋賀県の大津から京都の蹴上(けあげ)まで遊覧船が運行されるようになりました。
京都の歴史遺産に触れられるだけでなく、いつもとひと味違う船からの京都の風景を堪能でき、一人旅にもおすすめです。(事前予約制)
びわ湖疏水船公式ホームページ
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