再構成の段階は「モデリング」「マッピング」「メタファー」
「インプットの段階」の次に来るのは「再構成のステージ」です。これは学習の根幹をなす非常に重要な部分ですので、やり方をしっかりとマスターしていきましょう。まず理解していただきたいことは、「再構成」には科目や学習する単元の性質によって違う手法を選ぶ必要があるということです。それぞれについて説明していきたいと思います。まず最初は、全ての学習の基礎となる「モデリング」についてご説明します。モデリングとは、ある学習対象について先生や大人の動作や行動を見て、それを真似することによって学習していくことを指します。これは子どもの成長過程において、極めて重要な学習方法となります。このモデリングは、学習のあらゆる場面において役立ちますが、特に算数および理科の計算・作業分野(力学・化学反応・天体分野など)を学習する時に力を発揮します。
モデリングで重要なことは、授業において先生のやり方をきちんと反復できる形に残してあるかということです。そのための最重要アイテムは「ノート」です。ノートをきちんと取ってきているかどうかが、モデリングの学習効果を決めます。板書内容はもちろんのこと、強調箇所(色や下線など)もしっかりと写し取って帰っているかどうか、これを保護者の皆様はチェックしなければなりません。その上で家庭学習をしっかりとさせられるかどうか。それができないのであれば、学習効果は正直期待できないでしょう。
続いて記憶を強化する「マッピング」という方法についてお話しします。たとえば未知のことを暗記するときに、まったく新しい情報として頭に入れようとすると、大変な困難を強いられることがあります。みなさんも年号暗記や英単語を覚えるのに最初苦労した記憶があるのではないでしょうか。まったく新しい知識を頭に入れることは、とても困難なのです。
社会や理科の知識分野(生物・地学)などの学習で暗記を効率良く進めるためには、覚えるべきことがらを既知の情報に結びつけるとよいでしょう。そのための手法として、マッピングというやり方をおススメします。マッピングとは未知の内容と既知の内容の距離を、予めできる限り近づけておくという手法です。具体的な方法としてはたとえば歴史を学習する前に歴史マンガを読んでおく、とか、植物の学習の前に植物園に行っておくといったことですね。あるいは今はやりの「マインドマップ」と呼ばれるものを作成するのも有効です。
最後は「メタファー」と呼ばれるものです。これは元々の意味は「隠喩」とよばれる比喩表現のひとつなのですが、そこから転じて、人間が物事を認知・理解するための方法のひとつとも定義されています。これは、ある物事を理解するときに、他のものに置き換えて考えるというもので、国語の読解問題を解く上でで欠かせないものです。いわゆる「行間を読む」という作業ですが、一部にはこれがとても苦手なタイプの生徒もいます。こうした場合、保護者の皆さんがいちいち知識として教え込んでいく必要があります。
メタファーはたとえば算数で相似の図形を習った後に、理科のグラフ問題でそれを活用して解く、などといった違った分野に応用することも可能です。いわゆる「応用力」と呼ばれる力ですが、これを養うためには、まずは基本パターンをしっかり学びとっている必要があります。応用問題だけをやみくもに学習しても、基本事項が身についていなければ効果は薄いとお考えください。
アウトプットの段階は学習のタイミングが重要
学習を定着させるためのラストステージが「アウトプットの段階」です。せっかく覚えたことも試験で活かせなければ意味がありませんよね。いわば学習を完成させるためのステップですが、その訓練方法を「アウトプットトレーニング」と呼びます。アウトプットトレーニングはとても簡単です。学んだことを頭の中から引きださせればいいわけですから、たとえば小テストや実力テストや模擬試験といったものでおこなうことができます。あるいは保護者の皆様が、口頭試問によって覚えたことをお子さんに言わせるだけでも、アウトプットトレーニングになります。
これをおこなうときに最も重要となるのが、アウトプットトレーニングをおこなう時期です。一般に学習した直後というのはその内容をほとんど覚えていますので、学習直後にアウトプットトレーニングをおこなってもほとんど意味はありません。学習内容を忘れた頃におこなうのが効果的です。忘れた頃といっても半年後とか1年後ではなくて、3日後・2週間後・1ヶ月後くらいにおこなうのがよいです。学習内容がなかなか定着しないお子さんの場合は、翌朝・3日後・1週間後…というように、繰り返しアウトプットトレーニングをおこなうと学習効果が上がりやすいです。
学習は、ただやみくもに量をこなせばよいというものではありません。きちんとそのメカニズムを知ったうえで、効率よくおこなう必要があるのです。頑張りましょう!