カナダ/トロント

所要時間25分!トロント空港の新アクセス鉄道

これまでバスやタクシーが主な交通手段だったトロント空港。ただ、カナダ最大の都市だけに交通渋滞も激しく移動時間が読めないのが難点でしたが、定時性に優れた鉄道がいよいよ開通。2015年6月に開通するアクセス鉄道の詳細をご紹介します。

執筆者:下村 猛

トロント空港とダウンタウンをダイレクトに結ぶアクセス鉄道!

頭文字のUPが大きく描かれた車輌 (C)Metrolinx

頭文字のUPが大きく描かれた車輌 (C)Metrolinx

これまでバスとタクシー、または路線バスと地下鉄の乗り継ぎという選択肢しかなかったトロント空港ですが、2015年6月6日、ついにダウンタウンと空港を直結するアクセス鉄道、ユニオンピアソンエクスプレス、通称「UPエクスプレス」が開通します。

1990年代からずっと計画されてきたものの、財政難などからなかなか開通に結びつかなかった路線で、トロントにとっては念願のアクセス鉄道。特にトロント市内及び周辺地域の道路の渋滞は近年深刻であり、定時性に優れた鉄道は空港へのアクセスを容易にしてくれる手段であることは間違いありません。また、環境にも優しい大量輸送交通といった側面からも、現在の事情に合ったものと言えます。

今回はこのトロント国際空港のアクセス鉄道であるUPエクスプレスの詳細をご紹介します。

ルート

運行ルート地図(クリックで拡大)

運行ルート地図(クリックで拡大)

トロント国際空港第一ターミナルから、途中2つの駅を経由し、ダウンタウンの中心、ユニオン駅を結びます。ユニオン駅は地下鉄、VIA駅などダウンタウンの交通の要所であり、地下鉄を使えば、ダウンタウンのほとんどの場所にアクセスが可能です。

途中のブロア駅は地下鉄2号線ダンダス・ウェスト駅の最寄りであり、乗り換えも可能ですが、現時点では特別な乗り換え通路なども用意されておらず、一旦外に出て、200mほど歩く必要があるので、荷物を持った旅行者の乗り換えにはあまり適していません。地下通路などが整備されたユニオン駅での乗り換えがおススメです。


所要時間と運行頻度

トロント国際空港駅への入り口(イメージ画像) (C) Metrolinx

トロント国際空港駅への入り口(イメージ画像) (C) Metrolinx

空港とユニオン駅を約25分で結びます。これまでタクシーでも1時間は見ておかなくてはならず、ユニオン駅から各方面への地下鉄移動の時間を考えても時間短縮は間違いありません。また、所要時間の短縮だけではなく、地下鉄とUPエクスプレスを使うことで、道路事情に左右されない確実な所要時間が分かるのは鉄道ならではの優位性と言えましょう。

運行時間は現時点において確定ではありませんが、午前5時から深夜1時までで、15分間隔で運行と発表されています。

料金

乗車区間によって異なりますが、旅行者として利用する空港からユニオン駅での料金をご紹介します。

大人 27.50カナダドル
学生(13~19歳)、シニア(65歳以上) 23.40カナダドル
子供(6~12歳) 13.75カナダドル
家族料金 55カナダドル(※)

※家族料金は大人2名に、18歳以下の子供3名までが無料で乗車可能な料金です。

切符は駅の自動販売機、空港のインフォメーションセンター、そして、公式サイト上でオンライン購入も可能になるということです。

また、トロントにはPRESTOという、SuicaやICOCAに似たICカードがあり、これを使うと大人19カナダドルと大幅な割引が得られます。このPRESTOカードはホームの案内書で購入可能。カード発行代金として、別途6カナダドルかかりますが、それでも合計25カナダドルと、通常料金よりも2.50カナダドル安くなります。購入時に往復分でも片道分でも購入時に好きな分だけチャージできます。また、購入するカウンターは自動販売機を通り過ぎた先、プラットフォーム上にありますので、ご注意を。また、使い方は日本のICカードと同じで、乗車前と乗車後にタップし、それで自動的に精算されます。

車両、設備

航空機のエコノミークラスを想像させる車内インテリアundefined(C) Metrolinx

航空機のエコノミークラスを想像させる車内インテリア (C) Metrolinx

新幹線などの車輌を手がける会社、日本車輌が製造するディーゼルカーによる2両ないし3両編成での運行とされています。日本製の車輌が使われているだけでも、随分と親近感が湧きます。

各車両に設置されている荷物置き場 (C) Metrolinx

各車両に設置されている荷物置き場 (C) Metrolinx

車内は二人がけのクロスシートが通路の両側に並ぶ配列で、車輌にはトイレ、荷物置き場があります。スーツケースなどの大きな荷物は荷物置き場に置くことができますが、鍵はありませんので、荷物の保管は自己責任で。

各座席にはテーブルやコンセント、無料公衆Wi-Fiが装備され、PC、タブレット、スマホなどの端末があれば、移動中にネットやメールチェックなども可能です。ただし、電圧は110Vと日本に比べやや高め。100-240ボルト対応のACアダプター利用なら問題ありませんが、それ以外の機器の場合、自己責任においてご利用ください。

場合によってはタクシーが良い場合も

渋滞に左右されない定時性は鉄道の強みですが、逆にホテルまでダイレクトでいけないのが欠点。UPエクスプレスの大人料金2名分で、タクシー料金よりも若干安い程度。地下鉄への乗り換えや料金などを考えると、少し時間が余分にかかっても、ホテルの正面まで行くことのできるタクシーの方が便利かもしれません。2名以上でご旅行の場合、ホテルの最寄り駅、また駅からのホテルまでの距離などを事前にチェックし、タクシーと列車での移動を比較の上での、ご利用をおススメします。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※海外を訪れる際には最新情報の入手に努め、「外務省 海外安全ホームページ」を確認するなど、安全確保に十分注意を払ってください。

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