大黒柱の死亡には遺族年金が支給される
一家の大黒柱が死亡すると、残された遺族の生活を考える必要があります。そのために、民間の生命保険を考える場合が多いのですが、公的年金からも遺族年金が支給されます。この遺族年金、受給条件が少し複雑で、遺族が夫か妻か、子どもがいるかなどで細かく決められているのです。妻がメインで働いている家庭には厳しい遺族年金事情でしたが、2014年4月以降は改善されました。細かくみてみましょう。
遺族年金には2種類ある
公的年金は、国民年金と厚生年金があります。自営業者などの第1号被保険者は国民年金に、サラリーマンや公務員などの第2号被保険者は厚生年金と国民年金に加入しています。そして遺族年金は2種類あり、国民年金からは「遺族基礎年金」が、厚生年金からは「遺族厚生年金」が支給されます。
亡くなった方が自営業者なら遺族基礎年金、サラリーマンや公務員なら遺族基礎年金と遺族厚生年金の受給資格があることになりますが、そのほかにも詳しい受給要件がありますよ。
遺族基礎年金は「子のある配偶者」「子」
自営業者などの第1号被保険者が亡くなった場合は、遺族基礎年金が「子のある配偶者」または「子」に支給されます。2014年3月までは「子のある妻」しか対象ではなく、妻が死亡した場合に「子のある夫」は遺族年金が受給できませんでした。2014年4月以降は妻が死亡した場合にも「子のある夫」も受給できることになりました。いずれにしても、基本的には、子どもに支給されるということです。妻がいれば妻に、夫がいれば夫に、子しかいない時は子に支給されます。
ここでいう「子」とは、18歳到達以後の最初の3月31日までの間の子(または20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の子)で、婚姻していない子です。一般的には、高校卒業まで相当の子ということですね(高校に進学しているかどうかは問われません)。
なので、子どももこの年齢を過ぎれば、遺族基礎年金の受給はストップします。もちろん、子のある配偶者として受給していた夫や妻も、子どもがこの年齢を過ぎれば受給も終了します。
遺族基礎年金、生計維持されていた夫はもらえます
ただし、死亡した人によって生計を維持されていたことが受給要件になります。原則として、生計を維持されていた人の年収は850万円未満とされています。よって、妻が死亡した場合、夫の年収が850万円未満であれば、遺族基礎年金を受給できます。専業主夫ではなく共働きだとしても、生計を維持している妻が亡くなった場合には遺族基礎年金を受給することができるので安心です。
次に、サラリーマンなどが受給できる遺族厚生年金はどのようになっているのでしょうか。
遺族厚生年金、夫、父母なども受給可
サラリーマンや公務員などの第2号被保険者が亡くなった場合、遺族基礎年金にプラスして遺族厚生年金の受給が見込まれます。ただし、この遺族厚生年金も受給資格が細かく設定されていますよ。
遺族厚生年金は、遺族基礎年金と比べると受給できる遺族の範囲が広がります。受給順位が決められており、上位者が受給すると下位者は受給できません。受給順位は
- 配偶者または子
- 父母
- 孫
- 祖父母
となっています。
この「子」は、遺族基礎年金の受給資格と同じです。18歳到達以後の最初の3月31日までの間の子(または20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の子)で、婚姻していない子でしたね。
また、孫も子と同じ年齢制限があります。
被保険者が死亡時に夫、父母が55歳以上なら、60歳から受給
夫や父母、祖父母にはさらに厳しい年齢制限があります。被保険者が死亡時に、夫や父母、祖父母といった遺族が55歳以上であれば、60歳になってから支給を受けられます。専業主夫の場合は、妻が亡くなった時に55歳になっていなければ、遺族厚生年金の受給資格もないということですね。ただし、子どもがいて遺族基礎年金を受給できる場合は、遺族厚生年金もあわせて受け取ることができます。
遺族厚生年金も生計を維持されていた人のみが受給可能です。年収850万円以上の人は、遺族基礎年金、遺族厚生年金ともに受給資格がありませんのでご注意ください。
専業主夫は、妻の死亡保障に注意
専業主夫が会社員の妻を亡くした場合、18歳未満の子どもがいる場合は遺族基礎年金と遺族厚生年金が受給できます。しかし、子どもがいない場合は妻死亡時55歳以上の時に60歳から遺族厚生年金を受給することができます。一方、専業主婦の場合は、遺族厚生年金も年齢にかかわらず受給できます(夫の死亡時に30歳未満である妻は、受給は5年間)。
同じ立場でも、男性と女性で遺族保障が異なります。専業主夫のご家庭、共働きでも妻の収入で生計が成り立っているご家庭は、妻の生命保険を少し考えておくことをおすすめします。
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