難消化性デキストリンの注意点
難消化性デキストリンは、トクホ認可のゼロカロリーコーラに使用され、話題になりました。
「難消化性デキストリン」の原料であるデキストリンは、FAO/WHO合同食品添加物専門委員会において1日摂取許容量を設定する必要がないとされ、「健康食品の安全性・有効性情報」では、重大な健康被害の報告はありえないとしていますが、「長期あるいは過剰に摂取すると下痢を誘発する可能性がある」と示しています。
そのため、「難消化性デキストリン」を使用したトクホ製品の注意事項には、「摂りすぎ、あるいは体質・体調によりおなかがゆるく なることがあります」という内容が記載されています。
例えば、あなたが「お腹の調子を整える」「中性脂肪の上昇を抑制する」「血糖値の上昇を抑える」という目的で、1日に3つのトクホの飲料やゼリーなどを摂取したとします。
あなたは、トクホの保健用途だけを見て選択し、関与成分が同じ「難消化性デキストリン」だということを知らずに使用していたらどうでしょう? 難消化性デキストリンを関与成分とするトクホ飲料のいくつかには約5g使用されていますが、5g×3=15gと、自分が思っている以上に摂取していたかもしれません。
増えている規格基準型
個別許可型のトクホは、費用も時間もかかります。そこで少しハードルを下げた制度として規格基準型のトクホがあります。規格基準型は、トクホとしての許可実績が十分であるなど、科学的根拠が蓄積されている関与成分について、規格基準を決め、消費者委員会の個別審査なく、事務局において規格基準に適合するか否かの審査を行い許可するトクホです。最近の規格基準型トクホで許可された製品の関与成分は、難消化性デキストリンが多く見られます。「難消化性デキストリン」が規格基準型トクホで表示できる保健用途は、「おなかの調子を整える」「食後の血糖値がきになる方に適しています」の2つがあります。
この規格基準型トクホの表示では、関与成分について規格基準が設定されています。
■難消化性デキストリンの場合
(表示できる保健の用途) (1日の摂取目安量)
お腹の調子を整える 3~8g
糖の吸収を穏やかにする 4~6g
摂取上の注意として、どちらの用途にも「とりすぎ、あるいは体質・体調によりおなかがゆるくなることがあります」ということを表示しなければなりません。
「難消化性デキストリン」に限らず、利用するときは、関与成分や摂取方法、注意事項などをきちんと確認するようにしましょう。
トクホは、置き換えとして利用
食品とはいえ、トクホや、また今後登場してくる機能性表示食品などは、特定の成分が濃縮した形で含まれている場合があります。健康維持・増進を目的に使用する場合には、食品の機能性だけでなく、関与成分は何なのかを確認しておくことがたいへん重要だと思います。また食品は薬ではありませんから、食べれば「治る」「効く」というものでもありません。過大な期待をして、偏った摂り方にならないようにしましょう。
血糖値や中性脂肪の上昇を抑制する作用がある(誰にでも効果があるとはいえません)からと言って、「難消化性デキストリン」さえ摂れば何を食べてもよいというものではありません。トクホは、いままで摂っていた食品をトクホに置き換えるというような使い方をするもので、健康維持・増進のためのベースは栄養バランスのとれた食事や運度など大切です。
参考/
・デキストリン(健康食品の安全性・有効性情報)
・難消化性デキストリン(日本食品機能研究会)
・健康・栄養食品アドバイザリースタッフ・テキストブック
・特定保健用食品(消費者庁)
・松谷化学工業
その他