フラっと立ち寄った「喜多方ラーメン坂内」さん
あっさりしたラーメンが食べたいなと散策をしていたら、見つけました。さっそく入店すると、厨房の中から元気な男性の声で「いぃらっしゃいませー!」。小さな「ぃ」は特徴的なイントネーションです。夜9時を回っていて、喉も乾いていましたのでお茶を持ってきてくれた女性スタッフに「生ビールください」と伝えました。
すると、「瓶しかありません」と素っ気ない返答。「ならば瓶ビールで」「はい」とこれまた乾いたやり取りです。発音から日本の方ではないとすぐに分かりました。
ビジネスやサービス業では「クッション言葉」はある意味必須アイテムですね。クッション言葉とは聞きなれないと思いますが、以下のような言葉のことです。
「恐れ入りますが、当店は生ビールの取り扱いがございません。瓶ビールでしたらご用意できますがいかがなさいますか」
このような形で、接客業において一般的に「恐れ入りますが」がクッション言葉になると思います。これが有ると無いとでは印象にかなりの違和感が出ることでしょう。
この習慣を教えるのは大変だろうな、と店長・経営者目線で考えていました。すると程なく「ドン」と瓶ビールがテーブルに置かれ、グラスも「トン!」という乾いた音を立てました。そして、ある意味機械的に
「ごゆっくりどうぞー」
うーむ、という感じです。つまみを何品か注文をしてから、そのスタッフの観察を始めました。するとガイドは仕事柄、あることに気が付きました。
不機嫌というより、何か悲しそうに見える
レジの前にいるときや、食器の片付けの時にため息が連続していました。何かあったのだろう、というのはすぐに分かりました。お客様も段々減ってきた午後10時ごろ、ハイボールのお替りとともに言ってみました。『張(チャン)さん、なんだか悲しそうだね。でもがんばって!』
この一言でパッと笑顔になってくれました。これだけでもガイドは良かったのですが、このやり取りを聞いていたバングラデシュ出身の男性アルバイトリーダーの「シラズさん」が、チャンさんに対して、「もっとメリハリつけてせきゃく(接客)しよう!シブンの気持ちをジブンで盛り上げよう!」との一声で私は『ジーン』ときてしまいました。
写真左:楊(ヤン)さん 写真中央:シラズさん 写真右:張(チャン)さん
それから15分ほどして、会計が終わった後の記念撮影にも快く応じてくれました。とても良いチームです。どうも有難うございました。
時として、あまり好感の持てない接客をしている外国人アルバイトさんを見るたび、「どうすれば変わってくれるのかな」と考えながら飲食などのサービスを受けることが多くなってきました。
ここで人材育成の原点である「相手の立場になって考えてみる」を実践することにしました。ここからは十数名の外国人アルバイトさんにインタビューをした結果です。
外国人アルバイトが感じている言葉の壁より高いもの
そもそも外国人アルバイトさんは少なくとも「バイリンガル」です。つまり外国語がペラペラで基本的な能力は高いといっても良いでしょう。しかし飲食店を中心にインタビューをすると、「何が正しいのか分からない」というコメントが非常に多いことに気づきました。最初は訳が分からないので、ただただペコペコ謝ってばかりいました。でもお客様のリアクションが少ない(ほぼ無視のような)状況が増えるにつれ、『どうでもいいんだな、と思うようになりました』というのです。
打っても響かない相手に「コミュニケーション」を取る必要がないというネガティブキャンペーンをしてしまっている人材が多いのは悲しいことです。
もしや、日本人の顧客が外国人アルバイトを受けいれていないのではないかと仮説を立てるようになりました。
しかし、一方に偏っては意味がありません。顧客のリアクションを最初から期待することは考えるべきではないのでは?と聞くと「スタッフとお客様は対等に近い間柄」と返ってくるのです。これはまさしく正論です。
私はこの高い高い壁はアルバイトさん側にも責任はあります。でも顧客側にも半分責任はあると結論を出しました。
これからの外国人アルバイト雇用に必要なこと
消費者である顧客に期待するのは時間もかかります。やはり一緒に働くスタッフがまずは連携、協力を心がけるべきです。メンバーが連携することで、小気味よいリズムと共に楽しささえ生まれる接客ができます。閉店後のコミュニケーションは日本人アルバイトよりもさらに密に取るよう心がけるべきです。確実に期待に応えてくれることでしょう。祖国から遠く離れた外国で寂しくない人はいないでしょう。胸を張って「良き日本の伝統文化を祖国に持ち帰りたい」「”おもてなし”を実体験してきた」と言われたいものですね。