ポチョンボ電子楽団を聴いてみる
北朝鮮に電子音楽系の人たちがいるということは、漫然と知っていました。他の数多くの旧共産主義国だけでも手一杯であったこともあり、こんなに近い、今でも共産主義の北朝鮮についてはちゃんと調べたことがありませんでした。ポチョンボ電子楽団(検索は「普天堡電子楽団」の方がいいみたい)をYouTubeやAmazonで検索してみるとちゃんと出て来ます。『北朝鮮ポップスの世界』で、北朝鮮ポップス史上で最大のヒット曲とされているのが、1990年の「口笛(フィパラム)」。ポチョンボ電子楽団は複数の女性歌手をフィーチャリングしているが、歌っているのは1988年に楽団に加入した全惠英(チョン・ヘヨン)。1992年には北朝鮮の芸術家として受賞できる最高の称号とされる「人民俳優」の称号を授与しました。確かにヒット性がある覚えやすい曲です。あくまでも懐かしの歌謡曲的で所謂テクノポップ的ではありませんが、シンセサイザーのアレンジも口笛に混じって、割と目立っています。
口笛 (YouTube)
第9集 チョン・ヘヨン独唱曲集1 (amazon.co.jp)
もうひとつ紹介したいのは、1992年の「我が国が一番よ」という典型的なプロパガンダ的メッセージの歌。歌っているのは、李京淑(リ・ギョンスク)。彼女は、「功勲俳優」で「人民俳優」の次に栄誉ある称号をもっています。電子音が炸裂するイントロからやる気が伝わります。「ララララ ラララ ラララララ」という歌い出し部分からは、ソ連的な情緒が感じられるのは、やはり共産主義国家としてのシンパシーから来るものなのでしょうか?
我が国が一番よ (YouTube)
ポチョンボ電子楽団の英語表記は、「Pochonbo Electronic Ensemble (P.E.E.)」。リリース元は、当然ですがKMCという国営レーベルで、180を超えるリリースがされています。世界のレコード・データベース・サイト「Discogs」によると、「シンセポップ」とジャンル別けされていました。ソ連において1957年から活動していたMescherin and his Elektronik Orchestra(メシェリン率いる電子楽器楽団)ルーツ的電子楽団がいます。僕の感想としては、そちらの電子系サウンド、北朝鮮がもともと培ってきたローカルな音楽、そして指導者の思惑が融合した歌謡楽団という感があります。
第45集 (amazon.co.jp)