建設から40年を超える団地が増加し団地再生が課題に
洋光台で、地域全体の活性化をはかる「ルネッサンス in 洋光台」スタート
日本の高度成長期の需要に応えるためUR都市機構の前身である日本住宅公団は、1955年に発足しました。つくられた団地は、全国で約1700団地、約75万戸にも上ります。こうした団地の中には、建設から40年を超えるものも多く、こうしたストックを再整備し団地再生を進めていくことが今、大きな課題になっています。そうした中、2011年12月に再生のモデルプロジェクトとしてスタートしたのが洋光台地域全体の活性化をはかる「ルネッサンス in 洋光台」です。洋光台は、1970年に街開きした歴史ある団地で、神奈川県横浜市磯子区にあるJR根岸線で横浜まで20分という便利な地にあります。UR賃貸住宅は、「洋光台中央」「洋光台北」「洋光台西」の3団地があり、もっとも古い「洋光台中央」「洋光台西」の団地は、1970年に入居がはじまっています。
「ルネッサンス in 洋光台」では、各界の著名な有識者からなる「アドバイザー会議」とURが、有識者、洋光台まちづくり協議会、神奈川県など地元関係者・行政との連携を図りながらまちの活性化策を議論する「エリア会議」を擁しプロジェクトを進めています。アドバイザー会議のメンバーとしては建築家の隈研吾氏やクリエイティブディレクターの佐藤可士和氏、社会学者の上野千鶴子氏などが参加しています。
こうした、会議を反映して洋光台では昨年完了した大規模修繕にあわせて、既にプロジェクトがスタートしています。実際に洋光台駅を訪ね、進行中の「ルネッサンス in 洋光台」を見に行ってきました。
大規模修繕とあわせ外装に変化を
地域交流のためのCCラボを設置
駅を出て団地を眺めて驚いたのが団地の外観。窓先の室外機置場の下に木目調のデザインを施すことで、独特のデザインに仕上がっています。大規模修繕でただ塗装しなおすだけでなく、デザインを施すことで、街に新たな息吹が入った印象を受けます。街の人に話を聞いても好評のようです。また、昨年4月にオープンしたのが、コミュニティチャレンジラボ「CCラボ」。洋光台中央団地のサンモール広場に面した場所に、1日~7日間の期間で利用できる「Short Lab」と1カ月単位で利用できる「Long Lab」の2か所のラボを設置。「洋光台のまちづくりとして、地域のコミュニティを元気にする活動」であることが利用の条件ですが、様々な活動が1年を通じて実施され、コミュニティづくりにも一役買っているようです。
例えば、5月は、「Long Lab」でお湯カフェをオープン。ポットのお湯で好きな飲み物を作りつつ交流をはかります。「Short Lab」でも様々な講座や教室が個人や行政、団体によって実施されます。
取材当日には、子連れの主婦の方がふらっと立ち寄る場面も。子供が安心して遊べるように、敷きマットをさっと取り出すスタッフを見て、団地と入居者の良い距離感のつながりを感じました。
団地内を歩いていて思ったのが、植栽が大きく成長し緑が豊富なことや広場などオープンスペースが多いこと。最近では、団地の建替えプロジェクトなども目立つようになり立地の良さから人気になっているマンションも多いですが、長く培われた風土や文化も団地の良さだと感じました。場所柄なのか駅前のグリーンショップでの植栽の豊富さと安さには驚かされました。
なお、現在入居のキャンペーンが実施中で、3年間の定期借家契約で18歳未満の子を扶養する子育て世代なら「そのママ割。」で家賃を20%割引(対象団地限定、諸規定あり)。募集チラシの例だと洋光台北の部屋2DK 47平米が20%ダウンで、共益費込63,100円とあります。
同じく3年間の定期借家契約で、29歳以下なら「U29割。」で20%割引(対象団地限定、諸規定あり)。団地居住者の高齢化が進む中、若い入居者を増やす施策も行われています。
一言に団地といっても、そこに住まう人の居住年数や街への思いは様々です。多くの団地で高齢化が進んでおり、若い層の流入を促すことが求められています。ゆるやかにネットワークを作りつつ、居心地の良い空間をみんなでつくる。そうした活動が、今後直面する団地の高齢化対策に必要だと洋光台を見て感じました。