家づくりのヒント1:音楽的なコミュニケーション
■ゴリラにも父親がいますゴリラは人間の家族形態とよく似た社会を持っています。それは、ゴリラにも父親の存在があるからです。チンパンジーは乱婚なので父親はいません。人間とゴリラはよく似た社会を持ってはいるのですが、子どもが発達する時期には違いがあります。その違いを再確認することで、家をつくる際に取り入れたいことや心構えをつくることなどのヒントが生まれます。
■ゴリラの赤ちゃんは泣きません。
人間の赤ちゃんは何かあるとすぐに泣きますが、ゴリラの赤ちゃんは泣きません。なぜ泣かないのかと言えば、生まれてから1年間はお母さんの腕の中で育つからです。けっして腕の外には出ずに、もし何か不具合が生じたり不機嫌になると、体を動かしたり低い声で唸るのです。
一方、人間のお母さんは手から放して置いたり、人の手に渡したりします。赤ちゃんは不安を感じやすい状況におかれるので声を上げて泣きます。声を上げて泣かないとお母さんは気がついてくれないのです。
そんなとき、赤ちゃんは言葉は分からないので、音楽的なリズムで語りかけ安心感を与えると泣き止んだりします。
人間は、赤ちゃんも大人も、言葉より先に音楽的なコミュニケーションで人間関係をつくってきたのです。
ゴリラのお母さんは1年間腕の中で赤ちゃんを育てます。
■音楽的なコミュニケーションで家族のつながりをつくる
子どもは、家族と一緒に食事をつくったり片づけをしたりして、コミュニケーションや社会性を学んでいくのです。その中で対話も大切なことですが、音楽は人と人との間の境界を解いて一体化させる力を持っているのです。
しかし、音楽による家族の一体化は、日本の住まいではあまり考えられていません。もっと音楽的効果を住まいの中にとり入れてみるのも、将来子どもが大きくなった時ある日どこかで同じ曲が流れた際、当時の家族の暮らしをよみがえらせてくれるかも知れません。住まいにはそういう役割もあるのです。
ヒント1
というわけで住まいの中にもっと音楽的コミュニケーションを取り入れてみよう!
家づくりのヒント2:子どもは、5歳までと15歳までが重要
■5歳までは右脳、6歳からは左脳が発達一般的に、計算や論理的な思考をつかさどるのは左脳、直感やイメージ,音楽をつかさどるのは右脳といわれています。左脳は6歳から7歳くらいで本格的に発達し、右脳はそれ以前の幼少期から発達します。したがって、小さいうちに絵や音楽を習わせて創造性やイメージ力を高めようとするのです。大人になるとどちらかというと右脳より、論理的な思考や計算の理解力など左脳を多く使うことが求められます。
■ゴリラの脳は500cc、人間は1400~1600ccに
ゴリラのオスの体重は200kgを超えるのに、赤ちゃんは2kg以下で生まれてきます。これは、人間の赤ちゃんより軽いのです。
なぜ人間の方が重たい体重で生まれてくるのか、それは脳を急速に成長させるためなのです。生まれて1年間で2倍の大きさになり、5歳までに大人の脳の大きさの90%ぐらいまで達するのです。その後12歳から16歳ぐらいまでで、大人の大きさ1400cc~1600ccに成長するのです。ちなみに、ゴリラの赤ちゃんの脳は4年間で2倍しかならず、500ccぐらいです。いかに人間の脳の成長が素晴らしいかが分かります。
このことから、子どもの成長時期において、環境の与え方や家族のコミュニケーションがとても重要、と言うことができます。
家を建てようとするきっかけは子どもの誕生や成長によるところが多いもの。画一的ではなく、デザイン性や空間力のある住まいは、子どもに大きな影響を与えることが分かります。
ヒント2
というわけで5歳までと、15歳くらいまでにどんな環境を与えるか、どんな暮らし方をデザインするのかがとても重要なのです。
ガイド佐川旭からのコメント
家族は人間しか持っていません。人間はなぜ家族を持てたかというと、共感力と音楽があったからです。音楽的コミュニケーションも空間づくりにいかしてみてはいかがでしょうか。【関連記事】
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