アドバイス1 出産でもらえるお金、公的支援を十分に活かそう
まず、ご心配の出産後の家計ですが、奥様の収入がなくなれば、月7万円の赤字となります。1年ちょっとで貯蓄も底をつきます。したがって、より家計支出を減らす必要もあるでしょうが、現状の支出を見る限り、見直せるとすれば「雑費」くらい。しかし、公的支援を活用すれば、出産による収入減はある程度カバーできます。
相談者は勤務先で社会保険に加入していますので、出産後に同じ職場に復帰するならば、「出産手当金」と「育児休業給付金」が支給されます。
「出産手当金」は給与(被保険者の標準報酬月額)の3分の2に相当する額で、産前42日分と産後56日分。「育児休業給付金」は育休で休んだ月数に対して、給与の50%が原則最長1年間(子どもが1歳を迎える前日まで)受給できます。
また、出産費用については健康保険から「出産一時金」が子ども1人につき42万円支給されます。
もうひとつ、収入減で家計が苦しくなったら、ご主人の国民年金保険の保険料の納付が免除となるよう申請してもいいでしょう。月1万5000円でも、それなりの負担軽減となるはず。もちろん、保険料の免除期間があることで、将来受け取る公的年金(老齢基礎年金)額は下がりますが、免除された分を後から納付(追納)すれば、また増やすことができます(※)。
アドバイス2 教育費は児童手当を基本に
教育費の準備については、まずは児童手当をきっちり貯めていくことを実践してください。現行の制度では、0歳から中学を卒業するまで積み立てていけば、それだけで約200万円貯めることができます。加えて、毎月1万円を別途貯めていけば、18年間で216万円。つまり、400万円超の教育資金ができるわけです。もちろん、教育資金はお子さんの進路によって異なります。高校まで公立であれば、教育費は進学初年度を除けば毎月の家計から捻出できるはず。事前に用意すべきは大学費用ということになります。
あくまで目安ですが、4年間にかかる大学費用は私立文系で690万円、私立理系で820万円(平成24・25年度大学生の教育費総額)ほど。先の貯蓄ができれば、かなりの部分の大学費用は準備できると考えていいでしょう。
老後資金については、不安に思う気持ちはわかりますが、優先順位を考えればまだずっと後のこと。今は家計をしっかり管理し、出産後もきっちり貯蓄できる家計を目指してください。
アドバイス3 ご主人は積極的に収入アップを目指す
現在でも毎月6万~7万円の貯蓄をしている点は、とても優秀です。家計管理についても、今後も無駄なくやられることでしょう。とは言え、お子さん2人を希望されていますから、家計負担も増えるはず。となると、収入アップも目指していく必要があると思います。
ご主人が調理師でまだ26歳ですから、今後実績を積みながら転職を重ねることで収入アップも期待できるはず。たとえばホテル等に正社員として就職できれば、社会保険にも加入できるのでは。外国からの観光客が急増している今、職種としても追い風ではないでしょうか。今後、そういう好機も活かしながら、収入アップを目指してみてください。
(※)追納ができるのは、追納が承認された月の前10年以内の免除期間に限られます。
ぽんたろうさんから寄せられた感想
FP深野先生に アドバイスを頂き、低所得の私達ですが希望が見えました!子供は大学には行かせられないと思っていたけれど、そんなことはないこと、妊娠したとしても公的な補助金が出ることがわかりました。この記事が同じく結婚を考えていて収入が少ない人の助けになればいいなと思います。
FPの深野先生、相談に乗って下さり、誠にありがとうございました!
FPの深野先生、相談に乗って下さり、誠にありがとうございました!
教えてくれたのは……
業界歴26年目のベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。
取材・文/清水京武 イラスト/モリナガ・ヨウ
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