その3 読者を知るとともに、読者に知られる努力
現場を知るとともに、現場に知られるために、現場を歩く
読者としては、社内報に何が書いてあるかより、この社内報をだれが制作しているかということが気になるものです。上ばっかり向いて仕事をしている担当なのか、現場をより良くするために企画立案している担当なのか。
さらに、社内報は社員の協力無くしては発行できません。原稿依頼やニュースの提供など、社員の協力を受けつつ制作していきます。原稿依頼を受ける側の社員とした場合、全く知らない社員から依頼がくるよりも、良く知った社員から依頼がきた方が快くその依頼を受けるものです。原稿が集まらない、取材を受けてくれない、という悩みは、自らが知られていないことが原因なのです。
現場に出向け、そのように再三再四述べているのは、現場のことを知ることもさることながら、現場に出向くことにより、現場に自らが社内報担当者であるということを「知られる」結果ともなるからです。そこで、現場のことを一生懸命に把握しようとしている姿が垣間見られれば、「今度の社内報担当者は現場思いの担当者だ」そのような印象を与えることができます。そのような担当者から原稿依頼がくれば「原稿依頼。ひとつ協力してやるか」、「あの担当者が作成しているなら、社内報、読んでみるか」、そのような気持ちにもなりやすいというものです。
読者を知るとともに、読者に知られる。何が書いてあるかより、誰が作っているのかが大事。社内報という媒体よりも、社内報編集担当者そのものの人間臭さに社員は関心を持つものです。
その4 ニュースは待ってもこない、取りに行く
現場に出向き、現場を知るとともに現場に知られる。それ以上に、現場に出向くことは、社内報の素材としてのニュースや企画ネタを見つけるためでもあります。ニュースは待っていても社内報編集部に集まってくることはありません。それでいて、ニュースがないとぼやいている社内報担当者が多くいます。先に記したように、現場に再三出向いて顔を売って、また、社内報に掲載することでレスポンスがあり、なんらかの効果がある、そのような社内報に掲載することの効果や掲載されることがステイタスとなっている歴史のある社内報であれば、待っていてもニュースや記事が集まる、こともあります。しかし、ほとんどの社内報が、正直読まれているのかどうかも分からない状態で、ニュースを待っていても、集まるわけがないのです。
ニュースや企画ネタの探索のみならず、読者の声も拾います。ある企業の社内報担当者は、ランチは編集部内では食べないそうです。かならず他の部署の社員と食べに行くそうです。常に社内報を持ち歩きながら、ランチの合間に直近の発行号の感想を聞くそうです。読者アンケートでは見えない本音や意見を聞きだします。
そもそも読者アンケートで集まる結果は、社内報を読んだ、それも好意的な社員の声でしかありません。そこからでは社内報の課題は見えてきません。先の企業では、社内報を読んでいない社員の声も拾うことができます。むしろ社内報を読んでいない社員の声を拾った方が改善には役立つはずです。
読者を知り、読者に知ってもらい、ニュースも拾い、読者の声も拾う。一生懸命社内報の誌面デザインを考えることも大事ですが、それよりももっと大事なことは現場にあるはずです。みなさんの健闘をお祈りしています!