ミュージカル/ミュージカル・スペシャルインタビュー

女性視点で描くカルメン。マリア・パヘスに聞く(3ページ目)

開幕直前!スペイン・セビージャ生まれで、現代フラメンコ界最高峰の舞踊家マリア・パヘス。彼女が満を持して、新作『Yo, Carmen-私が、カルメン-』にて、「カルメン」そして女性というテーマに取り組みました。なぜ今「カルメン」なのか?マリアさんにお話を伺いました。

三浦 真紀

執筆者:三浦 真紀

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情熱を肌で感じたい。

制作時、映画の1シーンや写真のように、イメージ画が
パッと浮かびます。まるで魔法のように!

――この『カルメン』にはビゼーの有名なオペラの曲も含まれていますね。
はい。ビゼーのオペラ『カルメン』の曲を使って、私なりのアレンジで作った場面があります。音楽をオペラとは異なるシチュエーションで使っているのが、面白いところです。ビゼーの音楽は今まで描かれてきたカルメンのストーリーを越えて、多くのアイディアをもたらし、別の世界へと連れて行ってくれました。

オペラの場合、ドン・ホセやエスカミーリョの話が中心で、カルメンの曲は60~70%が誘惑している時に歌われます。でも私にはビゼーの音楽が異なる意味を持つように聞こえました。たとえばオペラで誘惑しているシーンに使われている音楽が、私には子守唄のように聞こえ、そんな場面を作りました。女性たちがものすごい勢いで台所で働いている風景も頭に浮かびました。

もちろん本作にはビゼーの音楽だけでなく、様々なスタイルの音楽がちりばめられています。

――作品を作る際、音楽を聞くと物語が浮かぶのですか。それとも物語を先に考えてから音楽をつけるのですか。
作品作りは具体的なアイディア、コンセプトを作るところから始まります。今回のコンセプトは女性でした。女性について考えていると、映画の1シーンや写真のように、イメージの画がパッと浮かびます。その浮かんだイメージには、最終的にステージの上で表現すべきすべてのものが凝縮されています。これが私のやり方です。なぜそのイメージが湧くのかは尋ねないでくださいね(笑)。それは魔法のようにパッと湧いてくるものなので。

ただ、そのイメージした映像がフラッシュのようになくなってしまわないよう、しっかりと受け止めて、詳細を詰めていくことが大切です。振付、音楽、衣裳、照明、背景、雰囲気…、細部にわたり全てを詰めてゆき、舞台上に再現していきます。

――マリアさんの踊りは地に足のついた力強さを感じます。そのエネルギーはどこからくるのでしょうか。
私自身の性格や個性だと思います。踊る時には自分を出し尽くし、全てを捧げます。疲れている時でも、今日はおとなしめでいいかな、とは思えません。私はきっと踊りながら死ぬんじゃないかしら。すべてを出し尽くして、もうダメ!と舞台上でバタッと倒れるんじゃないかしら(笑)。

なぜそこまでやるのか?私は自分が持つ最大限を尽くさなければ、観客の皆さんに対して誠実ではないと思うからです。

――その強靭な精神力をチャージするのに、普段の生活で心がけていることはありますか。
特に大きな秘密はないですね。肉体的なことでは、絶えずお稽古しているので自然に鍛えられます。最近は食事にも気を遣い、休息をとることも心がけています。

精神的なところでは今、一緒にいるパートナーとのプライベートの生活を大切にし、余裕を持ち、穏やかに暮らすようにしています。そんなプライベートの時間が精神的な支えとなっています。


マリア・パヘス舞踊団日本公演2015『Yo, Carmen-私が、カルメン-』

2015年4月24~26日 Bunkamuraオーチャードホール
2015年4月28、29日 兵庫県立芸術文化センター
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