価格が高騰しても「野菜は家計に優しい」といえる理由
病院での栄養指導では、よく「野菜をしっかり食べてください」とお話しします。野菜は“かさ”があるので、食べ応えがある割に低カロリー。食べるのを我慢しているダイエット中の方だけでなく、メタボリックシンドロームや糖尿病、高血圧、脂質異常症といった生活習慣病の予防にも役立ちます。そのため野菜を食べることは大切なのですが、「野菜は高くて買えない」という声を聞くこともあります。
気候や災害などの影響で価格が高騰することもありますが、厚生労働省が実施している『国民健康・栄養調査(平成30年)』でも、「収入の低い人は収入の高い人より野菜摂取量が少ない」という結果が発表されています。実際の患者様の声を反映するかのような結果です。
それでも、栄養士として声を大にして言いたいのです。「野菜は上手に使えば家計に優しいんですよ!」と。
「まとめ買い・上手に保存・少しずつ消費」で野菜は安く食べられる!
まず、野菜を家計の味方にするには、野菜の特徴を知ることが大切です。スーパーで売られている野菜は「根菜」「イモ類」「葉物」「その他の野菜(きゅうり、アスパラなど)」「もやし、豆類」「きのこ類」「水煮野菜」「冷凍野菜」「カット野菜」などに大別されます。店頭ではきゅうり1本、にんじん1本などのバラ売りや、カット野菜などの手間がかかる野菜は割高になります。そこで、「まとめ買いをし、栄養価が落ちないように保存し、少しずつ食べていくこと」が食費を抑えるための大きなポイントとなるのです。
まとめ買いと長期保存に向いているのは「根菜」「イモ類」「冷凍野菜」
まとめ買いをしても自宅で長期保存することが可能な野菜類は、忘れないように特売日に購入しましょう。長期保存に向いているのは「根菜」「イモ類」「冷凍野菜」です。冷凍野菜は自宅の冷凍庫の容量と相談して購入することが大切ですが、根菜やイモ類は切らずに涼しい場所に保管すれば、1~2ヵ月の保存は可能です。ただし、涼しい場所といっても冷蔵庫内はオススメしません。根菜やイモ類は冷蔵すると糖分が分解されてうま味が落ちてしまいます。使いかけは冷蔵庫に保存しますが、早めに食べる方がよいでしょう。
野菜を下ごしらえして保存する
購入したものをただ冷蔵庫に入れて保存しても、「葉物」や「アスパラ」などはすぐに痛んでしまいます。これらは買った日のうちに塩を入れたお湯で下茹でします。粗熱をとったら空気を抜きながらラップで包み、冷凍庫へ。1~2週間はもちます。また、「もやし」「きのこ」もお湯で軽く下茹でして冷凍保存すると、1週間程度は日持ちします。
いずれの野菜も下茹でして冷凍保存したら、凍ったまま料理することがポイントです。解凍して料理をするのは、和え物にするときくらいです。「冷凍食品」はあらかじめ下茹でをしてありますから、そのまま冷凍庫へ保存して、使いたい分だけを取り出して料理に使えば大丈夫。簡単ですよね。
ここで注意したいのは、根菜とイモ類は茹でたり蒸したりして冷凍したものを解凍した場合、すが入ってスカスカになってしまうことです。カレーやシチューを冷凍するなら、根菜類やイモ類を入れないか、溶けて形がなくなるくらいよく煮たものにしましょう。
キャベツやレタスを冷蔵庫で上手に日持ちさせる保存法
冷蔵庫で意外と日持ちするのは、キャベツやレタスといった大型野菜です。キャベツは芯をくりぬいてその穴に水を含ませたペーパータオルを詰め、濡れた新聞紙で包んだ後、ビニール袋に入れて冷蔵庫へ。レタスは芯をペーパータオルで覆って濡れた新聞紙で包んだ後ビニール袋へ入れて冷蔵庫へ入れます。それぞれ、1~2週間は新鮮なままいただくことができます。一人暮らしでも自炊の多い人であれば、キャベツ1玉、レタス1玉くらいであれば残さず食べきることができるでしょう。野菜を無駄にせず大量消費! 簡単料理の作り方・レシピ
キャベツであれば、千切りにして鰹節としょうゆをかける、一口大に切って昆布と混ぜる、といった切るだけの料理でもたくさん消費することができます。塩と一緒にビニール袋へ入れて軽くもめば浅漬け風になりますし、サラダの具としてマヨネーズとあえてもおいしいですね。さらに、野菜炒めの具としても、洋風煮込み料理の具としても、みそ汁や袋麺の具としても活躍します。お好み焼きの具としても欠かせませんね。春巻きの皮のように肉を包んでスープで煮れば、ロールキャベツができますし、豚肉とキャベツを重ねて鍋で蒸して、大根おろしや小ねぎを散らせばオシャレな1品が簡単にできあがります。そのほかにも、野菜をおいしく食べられる簡単なレシピは、様々なレシピサイトやアプリなどで紹介されていますので、気になるものを探して試してみるのがよいでしょう。お金がかけられなくても、野菜は工夫次第でおいしく楽しく食べることができます。「お金がないから」とあきらめるのではなく、どうしたらお金を無駄にせず、おいしくしっかりと野菜を食べることができるのか、無理のない範囲で工夫してみてください。