BMW X4試乗 キャラも走りも“個性的”(3ページ目)

街中ではフラットで硬質。飛ばせばしなやかで極上なBMW X4

いざ、走り出してみれば、狐につままれたような気持ちになった。その昔（それこそラインナップの少なかった時代）のMスポーツやMがそうであったように、４つのタイヤで路面を逆さに支えるようにして走るフラットで硬質な走りをまず実感したからだ。とにかくカッチリ硬いライドフィールが良しとされていた時代のドイツ車の亡霊に出会ったようである。

最近のBMWは、Mでもしなやかさや懐の深さを強調するテイストになっている。乗り心地をきっちりと確保したうえで、ニンブルさも備えているのが特徴だ。X4の、少なくともMスポーツはそれとは少し違う志向である。まるで、ちょっぴりアシの長いミズスマシのように、路面を滑るように、けれどもタイヤをしっかりと噛ませて走っていく。

だから、飛ばすと、これが本当にSUVなの？と驚くほど、スポーツカーのように走る。視線が高いぶん、コーナー進入の見切りもよく、攻め込んでも運転がしやすい。意のままに前アシを動かせるという自信が常にドライバーを安心させて、速度がどんどん上がっていく。
驚くべきことに、速度が上がれば上がるほど、今度は乗り心地がしなやかになっていく。だから、高速クルージング時には、さほど乗り心地が硬いとか思わない。継ぎ目を器用にこなして、快適に走ってくれる。GTカーとしては、とても優秀だ。
街中ではちょっと無骨。飛ばすと、極上。SUVのM系にBMWが与えた、それは走りのユニークなキャラクターなのかも知れない。