第50回理学療法士国家試験 午後問題と解説
<午後問題.4>
Danielsらの徒手筋力テストの結果を表に示す。考えられる疾患はどれか。
- Bell麻痺
- 重症筋無力症
- RamsayHunt症候群
- 筋強直性ジストロフィー
- 被殻出血
正解⇒1
<解説>
Danielsらによる顔面筋MMTの段階づけは以下の4段階です。
- F(Functional):機能している。もしくはごくわずかな低下。
- WF(Weak functional):弱いながら機能している。中等度の低下。
- NF(Nonfunctional):機能していない著しい低下。
- 0:全く活動がみられない
<午後問題.7>
50歳の男性。Parkinson病。発症後5年を経過し、すくみ足が出現してきている。自宅で転倒が頻回に生じている。転倒予防として自宅の廊下に模様を入れる際に効果的な図柄はどれか。
正解⇒1
<解説>
Parkinson病の症状の一つとして、すくみ足というものがあります。これは、歩こうとしても足が床から離れず、なかなか一歩を踏み出せないという現象です。しかし、Parkinson病患者が歩く場所に一定間隔で線を引き、その線を跨ぐように指示するとスッと一歩がでます。この現象は矛盾性運動と呼ばれ、視覚による刺激や聴覚による刺激により、動作を促す事ができるのでParkinson病患者への歩行訓練としてよく使われます。問題の図柄ですが、上記に該当する模様としては、一定ごとに区切り、境目がある図柄が連続的にあるものが効果的と考える事ができます。以上のことから正解は1となります。
<午後問題.18>
75歳の男性。脳卒中による左片麻痺。発症後6ヶ月経過。Brunnstrom法ステージは上肢、下肢ともに3。AFOとT字杖で屋内歩行は自立している。自宅浴室の現状と見取り図と環境整備案とを図に示す。環境整備案のうち最も必要性が低いのはどれか。
- バスボードの利用
- 手すりの設置
- 折り戸への変更
- 段差の解消
- シャワーチェアの利用
正解⇒2
<解説>
まず、1のバスボードですが、Brunnstrom法ステージによる麻痺の状態を考えると非麻痺側である右側からの入浴から、バスボードを介し入浴するのが望ましいです。3の折り戸は、現状環境の開き戸の場合、浴室入室の際は前方へ、退出の際は後方へバランスを崩しやすく、転倒リスクを伴う。その為、少ない力で開閉でき安定性もある折り戸への変更は必要です。4の段差解消もつまづきやふらつきなどによる転倒リスクを考えると大切になります。5のシャワーチェアは、通常の浴室用の椅子と違い座面が高く、膝掛けがあるものもあり、座位安定性に優れています。また、立ち上がりの際は座面が高い方が、立ち上がり動作の安定性にも優れており、現在の麻痺の状態を考えると取り入れは必須と言えます。最後に2の手すり設置に関しては不要ではありませんが、入浴から退出までの動作を考慮すると、他の環境整備案が欠落する方が入浴のリスク管理や動作遂行に支障をきたすと予想される為、優先度は低くなります。
如何でしたでしょうか?今回のご紹介した問題は、画像問題を中心としたごく一部ですが、医療介護業界の流れに合わせて出題されていることや、より細かい内容、実践的な内容を求められ始めているのが理解できたのではないでしょうか?次回国家試験までは、まだ時間がありますが、しっかり準備をしていきましょう。
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