アドバイス1 家計の黒字化と借金返済が急務
いろいろご苦労されていることは、相談内容から十分に伝わってきます。それでも相談者の「あめこ」さんには、まだ改善の余地はあると、前向きに考えてほしいと思います。ご主人は手取りで320万円の収入があり、「あめこ」さん自身も収入を得ている。しかも、ご主人の実家に住むことができているのですから、普通に家計管理を行えば、すぐに貯蓄できる家計となるはずです。
さて、家計を考える上では、すべきことは2つしかありません。家計を黒字にすることと、カードローンの負債分を返済してしまうこと。これに尽きます。
支出で見直すべきは、十分承知されていると思いますが、通信費と趣味娯楽費。これだけで合計11万円。半分に減らせば、それだけで家計は黒字化します。
どう削るかはあとで触れるとして、まずは支出費目ごとに予算を決め、同時に口座振替などによる先取り貯蓄を始めましょう。少なくとも、児童手当は手をつけず、教育資金用の口座を作り、必ずそこに貯めていく。このことはすぐに始めてください。
支払う利息を考えれば、貯蓄よりカードローンの完済を優先したいところですが、お子さん2人を抱えて貯蓄ゼロはあまりにリスクがあります。貯蓄と返済を半々ずつしていく、というペースでいいと思います。
アドバイス2 教育費の確保を最優先に、ボーナスからは必ず貯蓄
貯蓄の目的として、まずは教育費があります。上のお子さんは学資保険に加入されています。詳細はわからないということですが、0歳から加入されていれば、18歳満期で満期金200万円はあるかと思います。下のお子さんは学資保険に未加入で、貯蓄もないわけですから、今から用意しておかなくてはなりません。
高校までは公立、大学は私立文系とすれば、用意すべきは大学費用として、1人400万円ほど。学資保険分を差し引けば、備えておくべき額は2人分で600万円。今からでも児童手当をきっちり貯められれば、下のお子さんが15歳までに300万円超は貯まっているはずです。残り約300万円は、毎月1万5000円を別途貯めていけば届く計算になります。
ただし、現在、仮に毎月3万円の赤字とすると、教育費分として児童手当+1万5000円で4万円。それ以外の貯蓄として1~2万円は上乗せしたいところ。となれば、8万~9万円支出を減らさないといけません。これは結構な額です。
そこで先に触れたように、まずは通信費と趣味娯楽費をせめて半分に減らすこと。それ以外に、どうしても貯蓄に活かしたいのがボーナスです。年間80万円のうち、半分を貯蓄に回せば目標の貯蓄ペースとなります。残りは、カードローンの返済にあてましょう。
すると、ボーナスがほとんど自由に使えないことになりますが、それは仕方がありません。ご主人が「前借り」して使ってしまったのですから。そもそも、現在の冬のボーナスの使いみちですが、忘年会3回で10万円、残りは年明けの新年会の費用など、家計の現状や子どもの将来を考えたら、とても使ってしまってよい金額ではありません。
アドバイス3 強行手段とそのための話し合いを
さて、これまで述べた家計改善は、当然、ご主人の協力なしには実現しません。浪費癖については、「あめこ」さんが指摘されているように、これまで育って来た環境がすべてと言っても過言ではありません。実家があり、親も健在。どうにかなると考えているはずですし、実際、規模はわかりませんが相続する資産もあるはずです。とは言え、このままでは、あまりに将来に向けてのリスクがあり過ぎます。何度説得しても改善しないなら、強行手段を取られてはどうでしょう。クレジットカードとキャッシングできる銀行系のカードは、ご主人から取り上げます。すべて予算制にして現金を渡し、その範囲内で使ってもらう。
もちろん、ご主人は簡単に同意しないでしょう。であれば、ご両親を交えて話し合いをしてみてください。ちゃんと現状を説明した上で。
実の子ですから、ご両親はご主人の肩を持つかもしれません。逆に「あめこ」さんが悪者にされる可能性も否定できません。それでも、訴えるしかないと思います。しかも、感情的にならず、また短期間で結果を出そうと焦らず冷静にです。かわいい孫のためだとご両親が気づけば、理解してくれることは十分考えられます。ご両親を味方につければ、少しずつこちらのペースに持って行けるのではないでしょうか。
簡単ではありませんが、根気と家族を思う気持ちで頑張ってください。
教えてくれたのは……
業界歴26年目のベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。
取材・文/清水京武 イラスト/モリナガ・ヨウ
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