親の家を1年ほうっておけば「迷惑な空き家」の道をたどる
祖父母や両親が住んでいた家を相続・贈与を受け「空き家」として保有している人は少なくないでしょう。一方で、空き家の増加は新たな社会問題を産んでいます。
ところで、空き家は4種類あります。
1つめは「売りにだされている家」で、買い手がつくまでの間、空き家状態の家。2つめは「賃貸にだされている家」で、借り手つくまでの間、空き家状態の家。この2種類は、それなりに管理されて、ゆくゆくは人が住んで有効活用される家なので、迷惑な空き家とはいえません。
3つめは別荘などの二次的住宅で、持ち主は定住してはいないけれど、時々利用する家ですから、空き家に分類されてはいますが、それなりに管理され有効活用されている家の範疇でしょう。
問題は4つ目。誰も住まなくなった親の家に代表される「その他」の空き家です。これは住み手が転勤、入院、介護施設等への転居、死亡により空き家になったものです。こうした家が管理されることなく長い間放置されると迷惑な空き家となってしまうのです。
したがって、誰も住まなくなった親の家を1年間放置しておくと「空き家」とみなされるのです。
勧告されても放っておくと税金が高くなる
そして、倒壊の危険、衛生上有害、適切な管理が行われていないために著しく景観を損なう、などの状態にある迷惑な空き家は「特定空き家」とされ、自治体は持ち主に対して、放置している空き家をきちんと管理するよう助言・指導、勧告することになります。持ち主は指導、勧告を受けると一定の猶予期間を与えられ、その間に、空き家を保全しなければなりませんが、指導、勧告を無視して放っておき、年をまたぐと、住宅用地特例の対象から除外され、固定資産税の額が高くなります。
因みに、小規模住宅用地(200平米以下の部分)では1/6 に、一般住宅用地(200平米を超える部分)では 1/3の減額がなくなってしまいます。また都市計画税についても、小規模住宅用地では1/3 、一般住宅用地では 2/3の減額がなくなってしまいます。
迷惑な空き家とみなされれば、住んでいないのに、税金の負担が増してしまうことになるのです。
それでも放っておくと強制的に解体されてしまう
そして、高い税金を払わされても、それでも何も対応しない場合は、市長村長の判断により、持ち主に替わって空き家を強制撤去(行政代執行)するなどの強硬手段が講じられることになるのです。こうした一連の強硬手段は2015年5月26日より開始されます。親の家を引き継いだら、ただちに売りに出したとしても、1年以上かかることは少なくありません。子どもが住まないと決めた親の家は、早めにどう有効活用するかを考えないと、世間から「迷惑な空き家」と見なされることになってしまいます。
しかしながら、現実は「家を自分の代でなくしてしまう」ことへのためらいや、「どのようにたたんでいいのか分からない」といった理由で決断できずにいる間に、いたずらに時間だけがたっていく、という方々は多いのではないでしょうか。
そのための対策として、私は次の5つを挙げました。
- 対策1:手離すのではなく「次世代のための有効活用」と考える
- 対策2:どんな有効活用方法があるのかを知ることが第一歩
・売りたいのに売れない場合の選択肢
・売らないと決めた場合の活用法 (近日公開予定) - 対策3:親が終活を始めたら「どうする?」を話し合う (近日公開予定)
- 対策4:兄弟,姉妹間でもめないようにする (近日公開予定)
- 対策5:「家の系譜」を継げば、家を継がない後ろめたさは消える (近日公開予定)