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親の家対策は「手離すのではなく次世代へ有効活用」

親の家を相続した後、一番多いのが「そのまま空き家にしている」というものです。2015年2月26日に空き家対策特別措置法が施行され、修繕や売却の準備を進めることが求められています。今回は、私の経験も踏まえて、対策のひとつ、次世代への有効活用についてご紹介します。

大久保 恭子

執筆者:大久保 恭子

これからの家族と住まいガイド

「次世代のための有効活用」と考える

空き家

地方だけではなく、都心でも空き家は増えています

親の家を相続した後は、みなさんどうしているのでしょうか。ある調査によると、売った、貸している、更地にして保有している、という方は少数派で、一番多いのが「そのまま空き家にしている」というものです。

空き家対策特別措置法が2015年2月26日に施行されました。倒壊するなど著しく保安上おそれのある「特定空き家」と判定されそうな空き家は、修繕や管理をしっかりするなり賃貸や売却の準備を進めるなりすることが空き家の持ち主に求められています。

親の死後すぐに、家をたたんで売ったり、貸したりするのは、子として心情的にはばかられる、親の家を自分の代でたたみ手離してしまう、という後ろめたさや寂しさから、ずるずると空き家にしてしまう、という気持ちはよく分かります。

私自身も数年前に親の家問題に直面した当初は、そのように思ったひとりですから。でも実際に売却してみて、考えはガラリと変わったのです。その顛末は、次のとおりです。

親の家は、次世代に引き継いでこそ浮かばれる

私は佐賀県唐津市にある親の家を、3年ほど空き家にしたのちに売却した経験があります。私が長女、弟が長男の2人姉弟です。母が先に亡くなり、ひとり暮らしの父を私や弟が住む東京へ呼び寄せ2年半ほど暮らしていた間と、父が亡くなった後に売却し買い手がつくまでの約半年間は空き家でした。

父が上京した時点で、実家をたたみ、売却することを決断すべきだと既に嫁に行っている私は思いましたが、長男である弟は躊躇しました。「いつか父が戻りたいと言ったときのために」「親が住まなくなったからといって、すぐに売却するのは、世間体が悪い」「なにより実家がなくなるのは寂しい」といったことが理由でした。

ところが、いざ売却し、まもなく買い手の家族が移り住み、嬉々として庭の手入や外壁の掃除をして大切に住まわれている、という様子をご近所の方から伝え聞くと、手離した後ろめたさや寂しさは、買い手のご家族の幸せに少なからず貢献しているのだ、という安堵と喜びに変わったのです。こういうことなら、もっと早くに売りに出してもよかったのでは、と思ったほどでした。

親の家を手離すのではなく、次の世代にバトンタッチして有効に活用してもらう、と考えることが、親の家問題を解決するうえでの肝となる。それが、実家や親が浮かばれる道だと、私は自分の体験からも、しみじみと実感しています。

親の家を長い間空き家にしがちなのは長男

ところで、身近な例を見ていると、親の家をたたむ子が、男性か女性か、第1子かそうでないかで、対応が異なるということが分かってきました。

「姉妹」の場合は、実家を出て嫁に行く時点から、いつかたたむ日が来ることを覚悟しており、事に直面したときは、あまり思いわずらうことなくすばやくたたんで売却している方が多いのです。私は嫁に行った長女ですが、どちらかというと、こちら側でした。

半面、長男の場合は空き家のまま、という方が多いように思われます。長男である私の弟も同じような行動をとりました。売ったり貸したりして手離してしまえば、自分の代で親の家が途絶えてしまうことについての後ろめたさや、親戚やご近所といった世間体を気にするあまり、ずるずると決断を先延ばしにしている、というのがおおかたの理由です。

気持ちは良く分かりますが、これが空き家の長期化を招いてしまい、かえって事態を重くしがちだということです。

ご長男のみなさん。どうか、親の家は手離すのではなく、「次世代のために有効活用する」と考えてみてください。親の家を通して社会へ貢献する、と思えば、親の家の呪縛から解き放たれるような心持ちになりませんか?

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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