BABYMETALを熱く語る
先生:けろっぐ博士、久しぶりに対談をしましょう。僕は普段は「ガイド」ですが、博士と対談する時は、昔に戻って、「先生」と名乗らせていただきます。博士とは、多くのPerfume対談をしてきましたが、2008年にした「サウンド講座(作曲編)」は、今でもよく読まれている長寿記事です。博士の最近の発言は、BABYMETALに関するものが多いですね。
Perfume対談~サウンド講座(作曲編) (All Aboutテクノポップ)
博士:
お久しぶりです! 実は私の中では、アイドル+メタルは「封印」だったのです。 ジェイソン・マスク、コープス・ペイント、おもちゃのチェンソーを振り回すといった表面的な演出にもかかわらず、肝心のパフォーマンスはアイドルソングそのもの…といった安易な融合が近年目に付き、アイドルとメタルの融合を名乗る者は金輪際語るべからずと心に誓っておりました。 そのせいでBABYMETALへの言及に遅れを取ってしまいました。 これは、私の人生とって最大の不覚DEATH!
先生:
どうして、BABYMETALは博士の琴線に触れたのですか?
博士:
まずはその圧倒的なパフォーマンスですね。しかも決してワルぶっていない点も新しい。 殺人的な16分のバスドラ。超絶技巧、正確無比なギタースウィープ。現在のシーンで、最もテクニカルなジャンルはヘビメタと言っても過言ではないでしょう。 テクノが絶対不可能な正確無比フレーズによる疾走感で応えてくれた様に、ユーザーは圧倒的な「刺激」を絶えず求め続けます。 その満たされる事のない要望に応え、ライヴ・パフォーマンスとしてさらに昇華させるにはもはやヘビメタのパワー、疾走感、そしてヘビメタ・ミュージシャンの圧倒的な超絶技巧に委ねるしかなかった。
先生:
博士、久しぶりに熱いですね~。
博士:
しかも、ヘビメタは意外と繊細で、色彩的、またクラシックにも通じるシンフォニックな一面があります。 邪悪の象徴として「メタル」を捉えず、あくまでもそうした「メタル」の本質を捉えながら、アイドルというフォーマットに落としている点。 決してポーズではなく、必要だったからそうした…という妥当性を感じます。 まさにPerfumeには「テクノポップ」、BABYMETALには「メタル」だったというわけです。 彼女たちは、もうポーズでおもちゃのチェンソーを振り回す必要は全くありません。
先生:
僕もアミューズとMIKIKO先生の振り付けというPerfumeとの共通点はあるものの、テクノポップではないBABYMETALについて書いてしまいました。テクノポップ、ヘビーメタルという違うルーツを持ちながらも、両者(彼女たち自身というよりも制作に関わった人たち)ともルーツを正しく理解しつつ、それらを昇華し、新しい組み合わせを提示するという点では似ています。
BABYMETAL~かわいいは正義DEATH (All Aboutテクノポップ)