今なお減ることのない不正行為の数々

ここ30年だけでも数多くの科学研究における不正行為が行われています。 主なものを列挙してみましょう。

■世界
  • 1986年 アメリカ ボルチモア事件
  • 1689年 アメリカ 常温核融合事件
  • 1994年 イギリス ピアース事件
  • 1994年 アメリカ フィッシャー事件
  • 1997年 ドイツ ヘルマン/ブラッハ事件
  • 2002年 アメリカ 元素118の発見
  • 2002年 アメリカ ベル研究所事件
  • 2005年 アメリカ ポールマン事件
  • 2005年 韓国 ヒトES細胞捏造事件
  • 2005年 韓国 査読者アドレス偽装メール事件
■日本
  • 1983年 広島大学人工心臓実験捏造事件
  • 1988年 大阪大学産業科学研究所事件
  • 1993年 東京大学医科学研究所事件
  • 2000年 神奈川歯科大学事件
  • 2000年 旧石器発掘捏造事件
  • 2001年 第一製薬研究所事件
  • 2003年 昭和大学医学部事件
  • 2004年 理化学研究所血小板論文データ改ざん事件
  • 2005年 大阪大学大学院医学系研究科事件
  • 2005年 東京大学大学院工学研究科事件
  • 2005年 京都大学大学院農学研究科事件
  • 2006年 神戸大学工学部事件
  • 2006年 山形大学医学部事件
  • 2006年 大阪大学大学院生命機能研究科事件
  • 2008年 名古屋市立大学大学院医学研究科で博士課程の論文審査をめぐる贈収賄
  • 2010年 東京大学大学院工学系研究科の助教が経歴詐称、業績捏造
  • 2011年 獨協医科大学の教授らの論文にデータの捏造
  • 2012年 東邦大学の准教授の多くの論文にデータの捏造
  • 2012年 名古屋市立大学大学院医学研究科の教授、准教授の論文の実験画像に捏造
  • 2012年 東京大学医学部付属病院の特任研究員によるiPS細胞の臨床実験に関する虚偽発表
  • 2013年 京都府立医科大学で元教授の論文に研究不正があったと発表
  • 2013年 京都府立医科大学などでノバルティスファーマ社の降圧薬に関する臨床研究に不正
  • 2013年 東京大学分子細胞生物学研究所で教授のグループの論文に不正
  • 2014年 筑波大学生命環境系で教授の論文の画像に改ざんがみつかる
  • 2014年 理化学研究所のSTAP細胞事件
<背信の科学者たち(ウィリアム・ブロード ニコラス・ウェイド著 牧野賢治訳)より引用>

免震装置問題から捏造の背景を考える

高層ビル

データが異なれば大きな問題につながります

最近でも、ある会社が建物の揺れを抑えるための免震装置に使用される免震積層ゴムのデータを長年にわたり偽装していたことが発覚しました。製品開発の担当者が、基準に適合するように一部の試験データを改ざんし認定を受けていたようです。

今回の原因の一つに、試験データをもとに製品の性能を調べる担当を10年以上ひとりに任せていたということがあります。国土交通省の調べでは、「営業現場から納期に間に合わせるようにというプレッシャーがあり、この担当者が改ざんした」とみられています。

プレッシャーのため最初は “トリミング” ぐらいの感覚でやっていたのが、段々と感覚が麻痺して “クッキング” に至ったのかもしれません。もちろん、最初から不正とわかっていてやった可能性も否定はできません。

なぜ捏造事件はなくならないのか?

捏造事件を起こす背景としては、さまざまな強いプレッシャーのもとに置かれて追いつめられて犯す場合が多いとされています。またそのような原因でなくても、「名声のため」、「昇任のため」、「就職のため」、「研究費のため」などいろいろな動機があるでしょう。

多くの場合は、ささいな “トリミング” ぐらいの感覚でやっていたのが、徐々に “クッキング” に至り、さらにエスカレートして「捏造」となっていった可能性が高いと考えられます。

科学者が意図的に不正を働くことは多くはないでしょう。ただし、たとえ警察官であっても教師であっても、ある一定の割合で不正を犯す者がいるのも事実です。科学者が間違いを犯すことも不思議ではないと思われます。

現在の科学者の評価は、論文がすべてという状況であるのは否めません。逆にそのため数多くの影響のある論文を作成したいという誘惑に駆られて、一定の割合で不正がおこる可能性も少なくないと思われます。今後は倫理的な面だけではなく、制度的な面での対応が必要なのかもしれません。


<参考文献>
背信の科学者たち(ウィリアム・ブロード ニコラス・ウェイド著 牧野賢治訳)
生命と無生物の間(福岡伸一著)

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