あの科学者もデータ改ざん?

古書

あの科学者にも「データ改ざん」の疑い?

論文データ改ざんなんて通常ではありえないと思われがちですが、歴史を紐解くとかなり昔からあるようです。「天文学の父」とされるガリレオ・ガリレイや「万有引力」のアイザック・ニュートン、「ドルトンの分圧の法則」のジョン・ドルトン、「遺伝の法則」のグレゴール・ヨハン・メンデルなどの実験結果もデータが意図的に変更されたと考えられています。

はじめに法則を発明し、その後それを証明できるようにデータを調整した(と思われる)実験結果となっているため、追試による再現が困難となっているようです。自分の理論を支持する “都合の良い結果” だけを抽出して発表していることを歴史学者は問題視しています。

野口英世にも「捏造疑惑」!?

千円札にも登場する偉大な科学者とされる野口英世にも、様々な「捏造疑惑」が持ち上がっています。生物学者の福岡伸一氏も『生命と無生物の間』という著書の中で、

「彼の業績、すなわち梅毒、ポリオ、狂犬病、あるいは黄熱病の研究成果は当時こそ賞賛を受けたが、多くの結果は、矛盾と混乱に満ちたものだった。その後、間違いだったと判明したものもある。彼はむしろヘビイ・ドリンカーおよびプレイボーイとして評判だった。結局、野口の名は、ロックフェラーの歴史においてはメインチャプターというより脚注に相当するものでしかない」

「野口の研究は単なる錯誤だったのか、あるいは故意に研究データを捏造したものなのか、はたまた自己欺瞞によって何が本当なのか見極められなくなった果てのものなのか、それは今となっては確かめるすべがない」

と厳しく言及しています。実際、野口英世の研究成果は今日まで通用するものがほとんどなく、主張は間違ったものとしてまったく顧みられていません。海外では評価されていないという事実は否定できないようです。

論文の “トリミング” や “クッキング”

ハサミ

都合が良い所だけを切り取ってはいけません!

十九世紀の科学者たちの間で支配的だった、データへの思慮の欠ける態度について、すでに1830年にコンピューターの前身である計算機の発明者チャールズ・バベジは、『英国科学の衰退についての考察』の中で問題点を指摘しています。

「最も有害な影響を及ぼすのは、影も形もないところから数字を引き出す科学者である。捏造者とは、名声のためにやってもいない観測を記録する者のことである……幸いにも、このような例はまれである」

捏造のタイプとして、“トリミング” や “クッキング” が挙げられています。“トリミング” とは、論文の見栄をよくするためデータを改ざんすること。“クッキング” とは都合の良いデータだけを選択することです。

およそ200年前から、今回のSTAP細胞事件のようなことに対して警鐘を鳴らしていたのには驚きです。逆をいえば、その頃からすでにデータ捏造が日常茶飯事になっていたのかもしれません。

次ページでは、なぜ捏造事件が無くならないのかを考えます。