企業の人材採用

日本に17000社!人材紹介会社の種類と効果的な活用法(2ページ目)

大手就職エージェントの調査によると、自社の採用活動において人材紹介会社(エージェント)を利用したことがある会社は全体の71%にのぼる。利用する会社のニーズは、“要望に合致した人材の紹介”や“スピーディな紹介”というものであるが、採用の成否はエージェントの活動に大きく左右される。ここでは、人材紹介会社を効果的に利用する方法を紹介する。

桐田 博史

執筆者:桐田 博史

戦略としての人材採用ガイド

エージェントのモチベーションを高める

新規事業の立ち上げなどである程度の人数を採用するケースや、難しいポジションの採用を進める場合、エージェントが自社ファンというだけではうまく進まないこともある。こういうケースでは、いつも以上にエージェントのモチベーションを高める工夫が必要になるが、そのために有効なアプローチが以下の5点である。

1) エージェントの視点で募集要項をつくる
企業の人事担当者は法的な観点に基づいて募集要項を作成するが、候補者は募集要項に載っていないさまざまな情報も判断材料に転職を検討する。多面的な情報を候補者に適切に提供することが応募の意向を高めるうえでの重要なポイントになるので、候補者の欲する情報を良く知る彼らの視点で募集要項を作ることが大切になのである。

2) 採用案件をプロジェクト化する
採用活動を始める際にエージェントに対して説明会を実施し、採用の背景や募集ポジション、求める人材像などを採用部門の責任者から説明することは非常に重要である。人事担当者が電話一本でエージェントに依頼するだけというケースも散見されるが、採用をプロジェクト化し、候補者の紹介人数の目標を定めたり進捗の管理を行うことでエージェントの意識を高めることができる。

3) エクスクルーシブで案件を依頼する
多くの場合、同一案件を複数のエージェントに依頼して同時並行的に面接を進めるが、時には有力なエージェント1社のみに託すことも有効である。エージェントはエクスクルーシブで案件を受けることで、競合エージェントからの紹介状況を気にすることなく人材サーチに専念できるので丁寧に仕事を進めることができる。採用までに時間的な猶予がある場合に有効な手段である。

4) 表彰・報奨を行う
上記3) とは反対に、同一案件を多くの会社に依頼する場合、その成果に応じて表彰や褒章を行うことを予め伝えておくことでエージェントの意欲を高めることができる。ただし、単に競争心を煽ると採用要件にフィットしない候補者が多く紹介されるという状況を招きやすくなるため、自社との相互信頼を構築することがその先の取り引きの継続につながることを適切に伝えておくことが重要になる。

5) 紹介手数料(Fee)を上げる
候補者が少ないことが予想される職種の採用を行う場合は、紹介手数料を一時的に上げるというのも効果的である。採用難易度の高いポジションの候補者を探し出すことは決して容易ではなく、かなりのコストもかかるため、そこを補填することでエージェントが積極的にサーチできるようになる。ただし、Feeを上げることが常態化しないように、対象ポジションや期間を限定することが大切である。

エージェントとの相互理解が重要なポイント

人事担当者の中にはぞんざいな態度でエージェントと接する人が少なくない。自分がクライアントであり、お金を払って仕事を依頼することは事実ではあるが、エージェントを活用する以上、彼らを見方につけて働きやすい環境を提供することが何よりも大切である。

気の利いたエージェントと良い関係を構築しておくと、自社の課題解決やビジネスの加速に貢献できそうな優秀な人材を水面下で紹介してきてくれることがある。言わば、人材需要の先読みということだが、そうした縁が企業のビジネスの発展を支えることは決して少なくない。人事担当者は、採用案件があるときだけエージェントとコミュニケーションするという“待ちの姿勢”ではなく、“相互に理解し合う建設的な関係を築く”べきなのである。
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