2015年、注目の曲目・アーティスト
・祈りのパシオンPassionは、キリストの“受難”も意味し、クラシックの世界でPassionと言うと“受難曲”のことを指します(例:マタイ受難曲 Matthaus-Passion)。それゆえ、バッハの『マタイ受難曲』(144)、『ヨハネ受難曲』(216)、ヴィヴァルディの『スターバト・マーテル(悲しみの聖母)』(141)などバロックの胸を打つ傑作から、第二次世界大戦中に収容所で初演されたメシアンの『世の終わりのための四重奏曲』(157)など、古今の名曲が揃っています。お馴染みの世界的に著名なローザンヌ声楽・器楽アンサンブルなどが登場します。
情熱といえば“恋”に勝るものはないかもしれません。クラシックでは、特にショパンやシューマン、ブラームスなど、ロマン派の時代に美しい恋の名曲が生み出されました。筆頭はベルリオーズが女優への恋心を曲にした『幻想交響曲』(なんとこの曲の成功で、その女優と結婚することに!)(111、116)。ヤナーチェクの「ないしょの手紙」(234)は、恋をしてしまった人妻への恋文のこと。またオペラも恋の物語が多く、ワーグナー、プッチーニ、モーツァルトなどの歌や序曲などが登場。
・いのちのパシオン
命のエネルギーを感じさせる曲。ヴィヴァルディの『四季』(241)、ベートーヴェンの『英雄』『熱情』(115、131、156、165、264、354)。リストによる『超絶技巧練習曲集』(163)、浅田真央選手がソチ五輪で使い話題となった情熱的なラフマニノフのピアノ協奏曲第2番(214)、有名なチャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番(245)など、有名な曲が多く揃っている印象。
個別で変わり種の注目は、なんと渋さ版のベルリオーズの幻想交響曲を演奏するという渋さ知らズ オーケストラ(145)、ポルトガルの歌謡ファドを現代的に歌うアントニオ・ザンブージョ(274、374)、パンク・クラシックと言った感じのエッヂの効いたアレンジ・演奏を行うSPARK(171、272)あたり。
テーマ設定が変わり、プログラミングが自由になり、満足度の高い演奏が増えそう、という印象の今回。GWに都会にいながらとてもリフレッシュできそうです!
■ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン「熱狂の日」音楽祭2015
日時:2015年5月2日(土)・3日(日・祝)・4日(月・祝)
場所:東京国際フォーラム、よみうりホール、大手町・丸の内・有楽町エリア
P.S.
極めて個人的なところでは、プーランクによるソプラノ1人のオペラ『人間の声』(ピアノ伴奏版)(356)、ラ・ヴェネクシアーナ(136、226、233)による、ジェズアルドやモンテヴェルディ、ディンディア、カリッシミなどルネサンス曲の数々、ベレゾフスキーとギンジンによるラヴェルの『ダフニスとクロエ』2台ピアノ版(223)、注目のソプラノ小林沙羅によるシューマン『ミルテの花』などのプログラム(282)、ヴォックス・クラマンティスが声だけで演奏するバッハの『音楽の捧げもの』(334)、ルイス=フェルナンド・ペレスによるモンポウ、グラナドスなどお得意のスペイン・プログラム(362)、萩原麻未さんによるジェフスキ(363)あたりにとても惹かれます!