アイドル!それは、今や日本独自の文化と言えるでしょう。1970年代からテレビの発展とともに進化してきたアイドル。その定義は、小学生から20代前半までで、歌って踊れるタレントとすれば、間違いではないでしょう。

その若さ、マルチさゆえに、専門性の高いジャズとは水と油の関係にも思えます。でも、アイドルも20代後半になると、アイドル業を卒業し、別のジャンルでの活躍を求められます。

そういった流れの中で、アイドルがジャズを目指すケースも若干ではありますが、出てきています。

その中でも、現在一番成功していると思えるのが、1996年デビューの沖縄出身の彼女です。

元SPEEDメインヴォーカルの島袋寛子
ココドール「ココドール3」より「ハウ・クレイジー・アー・ユー」

Coco d'Or 3

Coco d'Or 3


このアルバムで、ジャス・スタンダードを歌っているのは、1996年にデビューしたアイドルです。本格的なダンスと切れの良いサウンドで一世を風靡した4人組「SPEED」のメインヴォーカルのヒロこと島袋寛子です。

ヒロはこのアルバムで、新旧スタンダードを12曲披露しています。「アンフォゲッタブル」や「オール・オブ・ミー」「カム・オン・マイ・ハウス」など誰もが知っている古いスタンダードよりも、やはり新しめの歌の方があっているのは、彼女の年代から言っても仕方がない事なのでしょう。

中でも、1996年スウェーデンのシンガーソングライター、メイヤによる大ヒット「ハウ・クレイジー・アー・ユー」は、ヒロも共感ができる歌のようです。

特徴的な若干鼻にかかったような、声がキュート。「SPEED」の頃のヒロと変わらない部分と少し増したお色気が心地よい歌唱になっています。

このココドールと言う名前は、ヒロを中心としたプロジェクト名ということです。イラストのジャケットからはヒロが参加していることはわからないような作りになっています。

このイラストは少女イラストの大家、水森亜土によるもの。これはこれで味があるのですが、ファンとしてちょっと一言言いたい気分です。

ジャズは大人の音楽です。ヒロも大人になった自分の表現方法としてのジャズのはず。それであるのならば、この少女チックなジャケットはマイナスです。

ライナーの中ほどには、アイドルを脱皮したヒロのポートレートが何枚か載っています。中でも、赤い素敵な衣装のセクシーな写真があります。これを表紙に使って欲しかった…と思うのは、私だけではないはず(特に男性ならば)

元アイドル、元SPEEDのヒロというのは、決して恥ずべきことではなく、むしろそれだけ沢山のファンを持っているということです。堂々と島袋寛子、ヒロを出して、ジャズを歌っていってほしいと思います。

そして、その方が必ずファンは喜ぶはず…

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そういう意味でも、気持ちが良いくらい売り方を分かっているのが、次に紹介する元モーニング娘。の彼女です。

元モーニング娘。の加護亜依
「AI KAGO meets JAZZ」より「星に願いを」

AI KAGO meets JAZZ

AI KAGO meets JAZZ


まず、ジャケットが良い。すっかり大人になった加護ちゃんが、そこにはいます。

加護亜依と言えば、90年代後半から00年代にかけて大ブームを巻き起こしたスーパーグループ、モーニング娘出身。

当時小さかった私の娘二人が、「ミニモニテレフォンでリンリンリン!」「加護ちゃんです!」「辻ちゃんです!」といつも歌っていたのを思い出します。

モーニング娘には12歳から16歳まで在籍した加護ちゃん。それからの人生の方が圧倒的に長いのは当たり前のことです。そして、大人になった加護ちゃんが出会ったのが、ジャズというわけです。

芸能活動の始めにロケットスタートを切ってしまったので、その後の活動がすべて地味に見えるのは仕方がないところ。白いドレスに包まれた顔がやや寂しく見えるのは気のせいだけではないはず。

結婚をし、やや残念なご亭主というのも、スターによくあることです。でも、それが、ことジャズにはマイナスにならずに、むしろプラス要因になるから、良いところに目を付けたものです。

ビリー・ホリデイにしろ、エラ(フィッツジェラルド)にしろカーメン(マクレエ)にしろ、みな男で苦労しています。そして、そのことがバネになって、歌が艶々と光っていったと言えます。

そういう意味では、そういう加護ちゃんだからこそ、ジャズを歌うのにふさわしい条件はあるということになります。

さあ、そろそろ肝心の歌を聴いてみましょう!

まず、はじめに感じるのは、声がほとんど変わっていないということです。むしろ、歌い方が変わってないと言った方が良いでしょう。ジャズだからと構えたところは全然なく、驚くほどの自然体、いつもの加護ちゃんです。

7曲目、ディズニーの主題歌「星に願いを」は、このアルバムの中ではおススメ。可愛らしい声と歌い方がピッタリともいえる選曲です。

これを聴いていると、小さい頃の娘たちと一緒にディズニー・ランドへ行った思い出が甦ってきます。ジャズヴォーカルを聴いて、娘を思い出すというのは、普段ならありえないシチュエーションです。

これが、ジャズと言うかは置いておいて、まさしくアイドル加護亜依の歌というにふさわしい出来と言えます。今後の加護ちゃんの、ジャズ・ヴォーカリストらしい開き直りに期待したい気分です。

がんばれ、ヒロ!がんばれ、加護ちゃん!

今回のアイドルのジャズ、いかがでしたか?アイドルと言っても必ず大人になる日が来ます。大人の音楽、ジャズにも出会うアイドルはこれからも出てくると思います。

いちファンとして、心をフラットに、そんなアイドルの姿を追ってみるのも、面白いかもしれませんね。では、また次回お会いしましょう!

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