宮部みゆきの青春ミステリー待望の映画化!
宮部みゆきのベストセラーの映画化として製作時から話題にあがっていた『ソロモンの偽証』。中学校での学校裁判という大胆な展開。中学生たちはみんなオーディションで選ばれた若い役者たち。そして監督は『八日目の蝉』の成島出。というわけで映画ファンも大変注目の作品になっています。学園青春ミステリー特集。まずは『ソロモンの偽証』からスタートしましょう。『ソロモンの偽証 前篇・事件』『ソロモンの偽証 後編・裁判』(2015年度作品)
校庭でクラスメイトの柏木(望月歩)の死体を発見した藤野(藤野涼子)。警察は自殺という結論を出したけれど、犯人を名指しする告発状の存在が、クラスメイトたちの心をかき乱します。ワイドショーでも取り上げられ、同校の生徒の間に不可解なトラブルや死が続く中でも、大人は何もしてくれない。藤野は「真実を自分たちで見つける!」と学校内裁判を開く決心をしますが……。
というのが前篇です。この学校内裁判には、藤野と同校の生徒たち+亡くなった柏木の友達である他校生の神原(板垣瑞生)が行います。裁判ごっこなのですが、クラスメイトの死についての裁判なので、ここで真相が炙りだされるのか……と、見る側が注目をする作りになっています。
原作をすでに読んでいると、意外と重要な人物やエピソードがスルーされているのが気になりますが、おそらく学校裁判に重点を置くため、学校以外のエピソードは最小限に留めたかったのかもしれません。
前篇では裁判に至るまでに何があったのか?を描き、後篇は事件の真相を裁判で暴きます。最初から最後までブレずに自身の正義を貫き通すヒロイン藤野を演じた新人女優の藤野涼子は、役名が芸名になるだけあって、原作のキャラクターにピッタリで大健闘です。また事件の鍵を握る三宅を演じたE-girlsの石井杏奈、容疑者になる不良の大出を演じた清水尋也も素晴らしかったです。特に清水は、中島哲也監督の「渇き。」でいじめられっこのボクを演じていた役者ですが、鮮やかな変貌ぶりは見事です。
正直、生真面目過ぎるきらいはあるのですが、毒のあるキャラクター三宅と大出の存在が作品にスパイスを与え、また脇を締める松重豊、佐々木蔵之介、夏川結衣、永作博美、黒木華、田畑智子が全体を締めてくれます。特に三宅の母を演じた永作博美は浮世離れしたキャラクターに血を通わせていて怪演!見応えあります。
前篇2015年3月7日公開 後篇2015年4月11日公開
監督:成島出 出演:藤野涼子、板垣瑞生、石井杏奈、清水尋也、佐々木蔵之介、夏川結衣、永作博美、黒木華、田畑智子、松重豊ほか
©2015「ソロモンの偽証」製作委員会
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