貫録を感じさせる一寸法師の絵本

一寸法師のお話は、誰でも1度は聞いたことがあるのでしょうが、「いざ子どもたちに話してあげようとすると細かいところをよく覚えていなくて……」とおっしゃる方が意外に多いようです。そんな時には絵本がお役に立つと思うのですが、どうせ読むなら完成度の高い作品を選びたいもの。もしもガイドが数ある一寸法師絵本の中から1冊選ぶなら、迷わず次の『いっすんぼうし』を選びます。昔話の魅力を最大限に発揮して、貫録さえ感じさせるロングセラーの昔話絵本をご覧ください。

まるで雅な平安絵巻!絵本『いっすんぼうし』の魅力

『いっすんぼうし』の表紙画像

女の子にもおすすめの、ちょっと甘めの昔話絵本です?!

『いっすんぼうし』は、石井桃子さんの端正な日本語と秋野不矩さんの絵が読む人を魅了する美しい絵本です。一般的な一寸法師のお話は、その勇ましいストーリーからどちらかと言えば男の子好みのイメージがありますが、この絵本は男の子だけでなく女の子にもとても人気があります。それは、この作品の美しい絵によるところが大きいのかもしれません。

一寸法師と言えばお椀の舟や鬼退治の場面などが表紙を飾ることが多い中、愛らしい法師とキリシマツツジのような鮮やかな紅の花が描かれた美しい表紙に驚かれた方も多いのではないでしょうか? 美しいだけではありません。秋野不矩さんの絵は、主人公が都をめざす道程に咲く花々、衣擦れの音さえ聞こえてきそうな姫君の様子、出世した一寸法師の凛々しい束帯姿など、どれをとっても愛らしさの中に平安時代の絵巻物のような格調の高さを感じさせます。

石井桃子さんの文章も、読みやすいだけでなく昔の言葉を大切にした再話で素晴らしい。ところが、このような再話に出会うと「昔話の言葉は子どもにはわかりにくいのではないか?」と不安を感じる方がいらっしゃいますが、心配はいりません。子どもたちはお話の流れの中で言葉を少しずつ理解していきますから、初めて聞く言葉があったとしても1度に全部わかる必要はないのです。

打出の小槌をかざす姫君の様子

打出の小槌を知らなくても、子どもたちは絵を頼りにその意味を類推します

実際に絵本の中では「お椀の舟に、箸の櫂(かい)」や「打出の小槌(うちでのこづち)」などの初めて耳にする言葉もたくさん使われていますが、子どもたちは絵を頼りに面白がって聞いています。聞きなれない言葉があっても、説明のためにお話の流れを中断するのはおすすめできません。もしも言葉の意味を質問されたら、お話のあとで説明してあげるのが良いと思います。

『いっすんぼうし』は、優れた絵と言葉がお互いをひきたてあって平安時代の雅やかな世界を表現した極上の昔話絵本です。子どもたちだけでなく大人の方もご一緒に、この雅な世界を心ゆくまで堪能していただきたいものです。


【書籍DATA】
いしいももこ:文 あきのふく:絵
価格:1188円
出版社:福音館書店
推奨年齢:4歳くらいから
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