アラベスクにはさまざまなピアノ基礎テクニックの課題が含まれている

ピアノを習い始めて楽譜を読むことに慣れ、ある程度のスピードで指が動くようになった頃に取り組む定番教則本のブルグミュラー「25の練習曲」。「ピアノ教則本『ブルグミュラー練習曲』の魅力」でブルグミュラーの練習曲が長年愛される理由については解説しましたが、その中でも第2番の”アラベスク”は、優美でありながら躍動感にあふれた人気の曲! でも上手に弾くには様々な課題が……。

”アラベスク”をカッコよく弾きこなすための練習ポイントをご紹介しましょう。
   

アラベスクとはどういう意味?

「アラベスク」とは、アラビア風の装飾模様のこと。植物の蔓や花、星形の組み合わせなど幾何学的なデザインで、イスラムのモスク壁面などに見られます。

音楽では、このデザインの印象を音で表現して、装飾的で技巧的な音型を散りばめた幻想的な作品という意味
 
アラベスクの写真

装飾模様「アラベスク」の例

 

アラベスクを上手に弾くためのポイント

練習曲の基本は、楽譜に記されていることを忠実に表現すること!テンポは無理でも、それ以外のことは出来る限り守るようにしましょう。
 
  • 16分音符のペースを崩さず音の粒をそろえて弾く
  • スタッカート、アクセント、レガートなどのニュアンスをつける
  • 音量の変化をコントロールする
  • テンポの変化をコントロールする
  • leggiero(軽やかに)、dolce(やさしく、優美に)、risoluto(きっぱりと)を表現する
  • 跳躍している音をリズムを崩さず正確に弾く
  • 左手の和音は弾みをつけて軽やかに、安定した2拍子を保つ

冒頭から13小節目までの課題
 
アラベスク冒頭から13小節目までの譜

前半の13小節の中に大切なピアノの基礎テクニックがたくさん盛り込まれている

 

絶対にクリアしたい3つの課題と練習法

■課題1: 安定した2拍子を保つ

「アラベスク」の冒頭2小節は、左手和音だけの前奏です。テンポ感がつかみづらく、最初のうちは、右手が入ってくると突然遅くなったり速くなったりしてしまいがち。そこで、右手がある程度速いテンポで弾けるようになるまで、休符になっている前奏部分も、下の譜のように音を入れて弾いてみてください。テンポを変えず安定した2拍子を保つことができます。

■課題2: 16分音符を揃えて弾く

「アラベスク」のメインモチーフである軽やかな4つの16分音符。指がすべってしまう、凸凹してきれいに弾けない……など、苦労した経験は誰でもあるのではないでしょうか。特に中間部に出てくる左手の16分音符はハードルが一段と高くなりますね。

きれいに弾けない原因は、指の一本一本がしっかり独立していないために、動くスピードが微妙に速かったり遅かったり、また強かったり弱かったりするからです。

指の一本一本を独立してコントロールできるようにするために、下の譜を参考にアクセントをずらしながらゆっくり弾いてみましょう
練習パターンの例

さまざまなパターンで指を動かすことで、次第に10本の指が独立して動くようになる


またこれ以外にもスタッカートで弾いてみたりそれぞれの音を2回ずつ弾いてみるなど様々なバリエーションをつけると、徐々に指がしっかり動くようになってきます。下の動画を参考にしてみてください。
 
 

■課題3: 跳躍を確実におさえる


「アラベスク」の最後は、16分音符4つのモチーフが音量を上げながらどんどん上昇していき、突然一気に落下、そしてすぐにジャンプしてフィニッシュを決めるというドラマティックなしめくくり! 跳躍を確実におさえカッコよく終えたいものです。

片手ずつの反復練習はもちろん、無駄な動きをしていないかチェックしたり、メトロノームを使ってゆっくりのテンポから徐々に上げていくなどの練習を重ね、跳躍の距離をしっかり体に覚えこませていきましょう
ブルグミュラーのアラベスク楽譜

最後の跳躍を確実に決めてカッコよく弾き終えよう!



さまざまなピアノ基礎テクニックの課題を含んだブルグミュラーの練習曲。その一曲一曲の課題をしっかりクリアしていくことが、ショパンやシューマンといった同じロマン派の曲を美しく弾くための大切なベースとなります

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ブルグミュラーの楽譜の写真

ブルグミュラーの課題を確実にクリアしていくことが、ショパンやシューマンといったロマン派の作品を美しく弾くための大切なベースとなる


ハードルは高くても、苦労して越えた先には必ず新たに拓けたピアノの世界があなたを待っています!


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