家族が増えたら住み替えするように、お金も引っ越しを
お金を上手に貯めるコツは、いろいろありますが、 『お金の居場所を作り、流れを変えればお金は貯まる』の記事のように、お金の居場所を整えることは、とても大事なことです。さらに、お金が成長していくと、適正な場所に移し替えることが必要になってきます。今回はそんなお話をご紹介します。これまでお金を上手く貯められなかったという人は、お金が貯まる場所を確保していなかったから。それに気づいて、積立貯蓄など適切な場所を確保できたなら、第一段階はOKです。しかし、人も、結婚して、子どもが生まれたら、ひとり暮らしだった部屋では手狭になり、引っ越しをしなくてはなりません、同じように、お金も引っ越しが必要な時期があります。
いくつかのケースでお金の引っ越し、移し替えを考えてみましょう。
1. 給振口座と同じ銀行で積立貯蓄をしているケース
勤務先に財形貯蓄制度があれば、毎月の先取り貯蓄は財形貯蓄が優先です。利子が非課税になる枠(財形住宅貯蓄の貯蓄型で元本550万円までの利子が非課税)がいっぱいになるまでは、ほったらかしでOKです。勤務先に財形貯蓄制度がない場合は、給与振り込み口座から自動積立定期預金を利用するのが、次の策。1年後の保険料などのまとめ払いに使う、帰省や旅行費用に充てるなど、明確に使う時期と金額を決めて貯蓄している人は、そのやり方を継続してください。
しかし、なかには積み立てをしている安心感からか、ほったらかしにしているケースがあります。積立残高が50万円、100万円になっても、そのままにしておくのは、ひとり暮らしのワンルームに家族4人で住むようなものです。お金がある程度まとまったら、広くて効率のいい場所に移し替える必要があるのです。
一般の都市銀行の積立定期預金は、1本1本定期預金を組んでいるのと同じで、金利も定期預金と同じです。仮に毎月3万円を3年積み立てたとします。元本は108万円。確実に100万円貯蓄は達成できますが、このまま継続していても積立元本から得られる利息はわずかです。
元本が100万円を超えれば、もっと金利のいい定期預金に移し替えるのが、貯蓄上手になるやり方です(100万円貯まったら、どこに預けるのが有利?)。もちろん、元の自動積立は継続し、また3年かけて100万円の元本を作り、移し替える。この繰り返しが貯蓄を確実に増やす方法なのです。また、まとまったお金を別の口座に預け替えれば、住宅購入の資金づくりなど、明確な目的のためのお金を別管理することができるのです。
銀行によっては、積立開始から1年ごとに、1本のまとまった定期預金にまとめるサービスがありますが、現在の金利状況では、まとめても金利がアップすることはありませんので、このサービスを使うメリットがありません。
2. キャンペーン金利で貯蓄しているケース
ボーナス時期などにネット銀行や地方銀行のネット支店では、通常の金利に上乗せしたキャンペーン金利を提示します。最近は、キャンペーンの数も少なくなりましたが、まとまったお金を預ける際は、こうしたキャンペーンを利用するのがベスト。でも、満期になったときの扱いまで、チェックしている人は少ないでしょう。満期になったのに、ほったらかしにしていると高金利で預けたつもりが、いつの間にか一般の定期預金と同じ扱いになっていた、ということがあります。定期預金の満期時点での扱いは、大きく分けて、自動継続型か自動解約型の2つです。
自動継続型とは、満期1年なら、1年後に高金利の金利が適用された利息が確定し、そのまま一般の定期預金となり、そのまま継続して運用されるのです。利息のみ受け取って元金は継続する、元利とも継続するといったパターンがあります。
しかし、いずれにしても自動継続の場合は、その時点での金利が適用されることになるので、せっかくの高金利も1年で終わりとなってしまいます。
自動解約型の場合は、満期後に自動的に定期預金が満期解約され、元本と利息が普通預金口座などに入金されます。このタイプだとせっかく普通預金から高金利の定期預金に預けたのに、1年後にまた普通預金に預けっぱなしになってしまう可能性が高くなります。
こうした期間限定のキャンペーン金利を利用する場合は、満期後の扱いがどうなるか、預入時に確認をするようにしましょう。
3. 目的が不明確なまま貯蓄しているケース
貯蓄の目的はさまざまですが、子どもの教育資金、住宅購入資金、老後資金が三大目的でしょう。シングルであったり、住宅購入予定がなかったりすると、当面の目的は、病気・ケガなど万一のときに備えるため、という人も多いでしょう。貯蓄の目的が明確にあれば、その目的に合った貯蓄商品を選ぶのが、賢いやり方ですが、当面そこまで大きな目的がない人は、とりあえず積立貯蓄をすることになります。このこと自体、特に問題があるわけではありませんが、子どもの教育費といった明確な目的ができた場合は、目的にあった積立方法を検討しましょう。
子どもの教育費の貯蓄として、学資保険(こども保険)が必ずしもベストではありませんが、貯蓄下手な人にとっては、取り崩しの心配がないため、確実に教育資金の準備ができます。
たとえば、子どもの大学資金に向けて、毎月1万4700円を17年間、自動積立定期預金で積み立てた場合、17年後には約300万円貯められることになります。これである程度の大学資金をまかなうことができるでしょう。同じように学資保険(こども保険)を利用するとどうなるのでしょうか。
ある生命保険会社のシミュレーションでは、毎月保険料1万4610円で17歳まで支払い続けると、保険料の払込総額298万440円に対して、学資金の受取額合計は300万円。銀行の自動積立定期よりもわずかですが、効率よく教育費が準備できます。学資保険(こども保険)を利用する最大のメリットは、契約者(世帯主など)に万一のことがあった場合、それ以降の保険料の支払いが免除され、契約通りの学資金を受け取れることです。
ただし、マイナス金利の影響で、学資保険・こども保険の返戻率(保険料払込総額に対する学資金の受取額割合)が低下しています。保険料の払込期間、学資金の受け取り回数の違いなどのバリエーションがあり、返戻率も変わってきますので、十分に比較検討することが大切です。
このように、貯蓄の目的によって、お金の貯める場所を変えて、より効率よく運用することを考えたいものです。お金の貯め方にはセオリーがありますが、それも家族の変化や目的の明確化などによって、いろいろなバリエーションがあるのです。お金の力をバージョンアップさせるのはあなた次第です。あなたのお金は、今、最適な場所にいますか?
【関連記事をチェック】
運命を変えるお金の使い方、貯め方、5つのコト
まずは貯金30万!貧困女子を脱出するための3つの鉄則
お金を貯める第一歩「ひとつ我慢する生活」とは?