アドバイス1 経済的に自立し、親に対して「言える人間」に変わる必要あり
いろいろな意味で難しく、深刻なご相談だと思います。ただ、これだけははっきりと言えます。結局は「あんずあめ」さんがしっかりするしかない、ということです。ご両親に対して、かつて自分が助けてもらったということから、負い目を感じる気持ちもわかります。怖いのは、親に言いたくても言えない。それのことで自分自身を追い込んで、元に戻ってしまわないか……。つまり、「あんずあめ」さん自身が買い物依存症になってしまうことです。これだけは避けなくてはいけません。
遠慮気味にご両親に注意するくらいでは、依存症が治るとは考えにくい。人間はそんなに簡単には変われないのだと思います。お母さんの状態などを考えると、よりそう感じます。
であれば、「あんずあめ」さんがはっきり言える人間に変わることです。普通に考えれば、ご両親は先に亡くなります。もし、今後結婚をされないのなら、一人で生きていかなくてはなりません。働いて、生活費を稼ぎ、老後のために貯蓄もできる。経済的な自立です。
そうなったとき「私もいっしょに返済するから」のひとことを、自信を持って言いたいところです。また、娘がそのために努力する姿は、口で注意するより、ご両親の依存症の抑制効果が期待できるのではないでしょうか。
アドバイス2 親のローンの総額を把握する。相続時に難しい選択になることも……
具体的なアクションは先だったとしても、まず先に行っておきたいことは、親のローン内容の把握です。「おそらく毎月15万円以上の支払い」とありますが、正確な額を知っておくことが重要です。幸い、お父さんはまとまった額の年金を受け取っていますが、それでも返済が難しい額になっている可能性も否定できません。持ち家も失うということにでもなれば、取り返しがつかないことになります。
さらに言えば、もし親御さんがなくなったとき、相続時に借金があれば、財産放棄をするか、借金を引き継ぐかということになります。それが多額であれば、「あんずあめ」さんにとってかなり厳しい選択になるでしょう。
アドバイス3 パートから「脱け出す方法」を選ぶこと
それと、正社員に打診さたれことについてですが、人間関係や待遇など、具体的にどう悩んでいるか、その詳しい事情はわかりませんが、現状から変われる大きなキッカケであることは確かでしょう。職場の激務から買い物依存症になってしまった経緯については、辛かったと思いますし、同情もします。しかし、それで人生が終わったわけではありません。それに、すでに克服して、こうやって自分の将来について相談もしている。あとは、新たな一歩を踏み出すことです。
月収は手取りで10万円、貯蓄はなし。この状態からいち早く抜け出す。そのための選択肢として「今の会社で正社員」を手に入れました。もし、どうしてもそこに踏み込めないのであれば、「別の会社で正社員」の道を模索してみてください。そして冷静にどれが自分にとっていいかを選択する。後ろ向きに考えず、ぜひ積極的に行動してください。
「あんずあめ」さんから寄せられた感想
八ツ井先生に「(私が)しっかりしないといけない」と言われたことや親に対して「家を担保にしてまで助けてくれた 」という思いが今でも自分の中にあることが親の借金を強く止められない原因なのだと、今度は本気で考えることができそうな気がしてます。今回は家族の問題や私自身の事は簡単に書いただけなのですが、買い物依存症になるきっかけの1つに当時の大事な人たちとのお別れや、両親が相次いで倒れたことなどを通して心が一杯いっぱいになってしまったということもあります。そこから私は両親に対して「遠慮」をするようになったとも思っています。
八ツ井先生のアドバイスで、「親は普通に考えて先に亡くなるから、自分の老後将来を考えることが必要」というお言葉をいただきましたね。これからは冷たく言えば親を少し突き放し自分の人生を考えるようにしたいと思います。もしどうしてもわかってもらえなかったら……家を出ることも考えようと思います。
正社員の件ですが…やはり今のところでというより、他のところを探していこうと思います。もちろん、年齢も年齢ですので、条件や収入でいいところは厳しいかもしれませんが気持ちの面で落ち着いて働けるところ、そして1人で生きていけるだけのお金があれば十分かな、と思いました。今回、恥をさらすかと思いためらいもあったのですが思い切って相談して本当によかったと思います。ありがとうございました。
教えてくれたのは……
八ツ井慶子さん
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取材・文/清水京武 イラスト/モリナガ・ヨウ