どんなドロシーが誕生するのか、楽しみだ。
カラフルでパワフルなミュージカル。
ドロシーはどんな冒険を経て、成長するのか!?
スーパー・ソウルフル・ミュージカル『ウィズ~オズの魔法使い~』が開幕直前。2012年秋の初演を見た際、なんて躍動的で愛くるしいミュージカルだろう!と思いました。子供の頃、ジュディ・ガーランド主演のMGM映画『オズの魔法使』に憧れて、オズシリーズの児童小説を読破した私。ダイアナ・ロスやマイケル・ジャクソンが出演した映画『ウィズ』も大好きでした。オズつながりといえば『ウィキッド』もそうですね。宮本亜門版『ウィズ~オズの魔法使い~』は、今ならではのポップワールドが全開です。美術監修にはきゃりーぱみゅぱみゅのアート・ディレクションでお馴染みの増田セバスチャンさん、振付には少女時代やBoAの振付が有名な仲宗根梨乃さん。個人的には、この『ウィズ』の振付が大好きです!仲宗根さんは今回、黄色い道の案内人として自らご出演なさるので必見です。
主演のドロシーには、AKBからオーディションで梅田彩佳さんと田野優花さんが選ばれました。梅田さんはブロードウェイミュージカル『イン・ザ・ハイツ』(2014年4月)でのニーナ役が光っていましたから、納得のキャスティングですね。そして、田野優花さんはいつかこのような形で出てくるだろうと応援していたひとりでしたから、心から喜んでしまいました。
前回のインタビュー時、亜門さんにAKB48グループ2人のドロシー起用理由を伺いました。
宮本亜門さん。
梅田彩佳さんは初演の時もオーディションを受けて、僕の中では2番目でした。歌唱力が増田有華さんのほうが勝っていたからです。しかし今回、梅田さんはその歌唱力を見事に上げてきた。彼女は25歳ですがとても愛情深い人で、母性を持っている。おかしな話ですが、話しているだけで、気持ちが温かくなり泣けてくるんです。この若さで。すごい包容力です。不思議な人です。それが演技に結びつき、新たなドロシーができあがるのを楽しみにしているんです。
彼女の真摯なミュージカルに対する態度、演技を含めて、その心の豊かさをドロシーと重ね合わせてくれたら面白くなるでしょうね。
●田野優花さんについて
田野優花さんは、初演オーディションの第一次審査で、僕が「やる気ない人、帰りたい人、正直に言っていいよ」と呼びかけたら、一番先に手を上げたのが田野さんでした。そのことに気づいたのは、今回の最終オーディション中(笑)。あの子、もしかして?と。その時、僕は怒っていたわけではなく、深夜で彼女達もギリギリのところでやって疲れきっている。だから本当に帰っていいよという意味で言ったら、3人位で一緒に帰っていったわけですが。ある意味嘘がつけない、正直な人なんだと思います。
田野さんはダンス力が抜群で、今まで見たAKB48グループの中ではトップです。身体が大きいわけではないのに、表に出すダンス力が尋常ではなく、驚きました。正直言うと、最初は演技も歌も弱かったけど、オーディションの回を重ねるうちにどんどん成長した。これほど変わった人はいないです。感性がすごくあり、元の声質がドロシーにぴったり。大きな可能性を秘めている人です。
練り上げてきた梅田さんと未完成で伸び代に期待できる田野さん、両方見ないと気が済まないと思い、お2人にお願いしました。