暖房しているのに寒い!それはコールドドラフト現象かも
暖房しているのに寒い、スキマ風のような空気の流れを感じる、足元が冷えるというようなことはありませんか? そんな風に感じたら、もしかしたら室内でコールドドラフト現象が起きている可能性があります。そんな状態のままでは、いくら暖房しても寒いまま、光熱費もどんどんかさんでしまいます。実はこの現象は、カーテンやヒーターなどを使った窓のプチリフォームで、意外と簡単に対策できます。まずはコールドドラフト現象とは何か?仕組みを知っておきましょう。
コールドドラフト現象とは?
窓ガラスから冷気が降りてきて、とにかく顔が寒い!
冬の寒いある日、ガイドYuuは宿泊したビジネスホテルで、これぞコールドドラフト!という現象に遭遇しました。そのホテルは、ベッドの頭側の近くに大きな窓ガラスがあったのですが、ベッドに入ったところ、部屋は暖房でとても暖かいはずなのに、とにかく顔が寒い!
じっとしていると、頭の上から冷気がどんどん降りてきて、わずかですが顔に冷たい風が当たるのを感じました。布団から手を出すと、その手もあっという間に冷たくなってしまいました。これがコールドドラフト現象です。
冷気はスキマ風ではなく、コールドドラフト現象によるもの
この冷たい風は、エアコンから出ている風ではありませんし、気密性の高いホテルですからスキマ風でもありません。室内の暖かい空気が冷たい窓ガラスに触れることで急激に冷やされ、その冷気が下に流れてきていたのです。つまりこの冷風は外から入ってきたものではなく、室内で発生しているものなのです。冷たい窓ガラスで冷やされた空気が下方へ降りてくると同時に、暖気は上に流れます。このような対流によって発生した冷たい空気の流れをコールドドラフト現象と言います。暖房しているのに家の中で寒さを感じる、閉め切っているはずなのに冷たいスキマ風を感じると言ったようなことが起きたら、コールドドラフト現象が原因になっている可能性があります。
コールドドラフト現象はパッキン取り付けでは防止できない
コールドドラフト現象はよくスキマ風と間違えられます。しかし外から入り込んでくるのではなく、室内で発生しているものですから、いくらドアや窓のスキマにパッキンを張り付けるリフォームをしても防止することはできません。コールドドラフト現象が起きやすいのは、窓が冷えやすい家、つまり窓の断熱性能が低い家です。古い家は概して断熱性能が低く、特に1枚ガラスの窓が付いている家は外気の影響を受けやすく、すぐに窓が冷えてしまいます。
床暖房リフォームをしたのに、あまり暖かくならない、寒くてストーブを併用していると言ったような悩みを抱えている家の多くは、断熱不足が原因となっていて、特に窓ガラスが1枚の家はコールドドラフト現象が起きている家が少なくありません。
断熱性能が低い窓のままでは、いくら暖房の設定温度を上げて部屋を暖めようとしても、根本的な対策をしない限り冷気を防ぐことはできません。これでは光熱費もかさんでしまいます。
コールドドラフト現象を防止する方法は大きく分けて3つ
コールドドラフト現象を防止するためには、大きく3つの方法があります。- 窓ガラスを冷やさないようにする。
- 室内の暖かい空気が、冷たい窓ガラスと触れないようにする。
- 窓で冷やされた空気が室内に流れてこないようにする。
1.窓ガラスを冷やさないようにするには、断熱性能が高い窓ガラスやサッシに交換するリフォームが効果的です。断熱性能が高い窓ガラスは冷えにくいため、コールドドラフト現象が起きにくくなります。
2.室内の暖かい空気が冷たい窓ガラスと触れないようにするためには、内窓や断熱スクリーンの取り付けリフォームがいいでしょう。内窓や断熱スクリーンには、3.冷やされた空気が室内に流れてこないようにする効果もあります。
コールドドラフト現象を防ぐ、窓のプチリフォーム事例
ではコールドドラフト現象を防ぐ、窓のプチリフォーム事例をご紹介します。ガイドYuuは最近、仕事場の引っ越しをしました。ところが椅子の真後ろに大きな窓があり、冬になるととても寒いのです。いくら暖房しても、背中からスキマ風のような冷気が流れてきて、暖房を強くしても背中と足は寒いまま、顔だけが暑いというような状況になっていました。
そこで、コールドドラフト現象を防止する3つの方法の中から、2.室内の暖かい空気が、冷たい窓ガラスと触れないようにする窓のプチリフォームを実施しました。
コールドドラフト現象を防げるか?ハニカム構造のスクリーン取り付け
使ったのは、断熱性能が高いハニカム構造のスクリーンです。窓にスキマなく取り付けリフォームすることで、コールドドラフト現象を防止します。ハニカム構造とは蜂の巣のような断面を持つものを言い、中の空気層が高い断熱効果を発揮します。蜂の巣のような形をしたハニカム構造のスクリーンで空気層を作り、高い断熱性能を発揮する(暑さ・寒さ対策は「窓」が鍵、省エネリフォーム最前線より)
今回は椅子の後ろ側だけでなく、打ち合わせ室の大きな窓にも取り付けを行いました。打ち合わせ室も、窓際に立つと冷気を感じ、床暖房をつけても寒い状態にありました。ガラスを触るとやはり冷え切っていて、コールドドラフト現象を起こす原因になっていました。
取り付けリフォームはとても簡単です。まず窓の寸法をしっかり計測し、窓のサイズに合わせてスクリーンを制作、窓にしっかりと取り付けを行います。
コールドドラフト対策に、窓に断熱性能を発揮するスクリーンを取り付けた様子。使用したのはセイキ販売のハニカム・サーモスクリーン。
コールドドラフト現象の対策に成功!冷気が収まった
窓にハニカム構造のスクリーンを取り付けリフォームした後は、背中から襲ってくる冷えや、スキマ風のような冷気が収まりました。スクリーンによって、室内の暖かい空気が冷たい窓ガラスと触れないようになり、また冷やされた空気が室内に流れてこないようになったからです。昼間の暖かい時間は開けてあります。下からだけでなく、上からも開くので空が見えるのがうれしいところです。足元の冷えも軽減されて、暖房の付け過ぎが無くなりましたので、今後は光熱費の節約も期待しています。
北国では窓の下にパネルヒーターを置くのが鉄則
コールドドラフト現象は、暖房器具を置く場所を変えるだけでも防止することができます。北海道の住宅では窓の下にパネルヒーターが置かれています。これは冷たい窓ガラスで冷やされた空気をすぐその場で暖め、冷気が室内に流れないようにするためです。ただし窓の下に電気ストーブやガスストーブ、石油ストーブを置くのは、カーテンへの着火の危険性があります。温水循環やオイルヒーター、窓下専用ヒーターなど安全性の高い暖房器具を使いましょう。
結露がある家はコールドドラフト現象が起きている証拠
我が家でコールドドラフト現象が起きているかどうかを、簡単に知る方法があります。冬の悩みの種と言えば「結露」ですが、窓ガラスに結露が起きる家は、コールドドラフト現象が起きやすい家です。結露が起きる原因も、窓ガラスが冷えることにあるからです。窓が冷えないようにすれば、コールドドラフト現象と共に結露も収まります。結露の仕組みと対策は下記でご紹介していますので、どうぞあわせてご覧下さい。コールドドラフトを防いで、寒い冬を省エネに暖かく過ごしましょう。
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