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FXと金は投資としては「まったく成長していない…」

投資をしているつもりであっても、実は「まったく成長していない…」運用方法がいくつかあります。金とFX(為替)はその代表例。手軽にスタートできるあるいは確実な投資と思っていたら、実はそうではないのです。

山崎 俊輔

執筆者:山崎 俊輔

企業年金・401kガイド

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金(Gold)とFX(為替)は投資ではない?

今回のコラムは先に結論を言ってしまいます。それは「金(Gold)」と「FX(為替)」は投資ではない、ということです。

私たちが資産運用に興味を持ったとき、雑誌によく取り上げられているのはFX(為替証拠金取引)です。ちょっとのお金で25倍の外貨を売買することで、毎月おこづかいを簡単に増やせるような特集記事があちこちで載っています。ネットでバナー広告などをクリックしたことのある人も多いでしょう。

あるいは「金」というのも投資を始めようとして情報収集すると広告や雑誌記事の特集に出会うことの多い商品です。少額からスタートできるとか、金は安心できる投資対象であるとか、金そのものを受け取ってアクセサリーにすることもできる、などと説明されることが多いと思います。

初心者は「FXは手軽な投資」あるいは「金は堅実な投資」だと思ってスタートしてしまうのですが、実はそもそも「投資」なのか、という問題があるのです。

逆転の発想、マネーハックの観点から「金とFXは投資ではない」という話をしてみたいと思います。

投資ではあるが投資しても成長することはない

投資、という言葉には少々あいまいさがあることは事実です。辞書的にいえば「利益を得る目的で、資金を証券・事業などに投下すること」(大辞林)なので、お金が増える方法ならどのようなリスク資産でも投資になります。金もFXも投資といえます。

しかし、経済学的にみて投資の本来の目的は「実物資本の増加」にあります。もっと簡単にいえば価値が高まる、ということです。

とある会社に投資をします。超シンプルな例としてAppleに投資したケースをイメージしてください。会社は投資を受けることで新しい商品を開発したりビジネスを展開できます。投資家が誰もいなければMacintoshもiPodもiPhoneも誕生することはなかったわけです。投資がうまくいくと、投資家は株価が上がって利益を得ます(配当ももらえます)が、それだけではありません。企業が成長し、社員は給料をたくさんもらい、商品を買った世界中の人も便利かつ幸せになります。世界中のたくさんの人が職を得てもいます。

ところが、FXと金はそうではありません。広い意味では投資かもしれませんが、投資をしたら為替や金が成長してくれるわけではないからです。

まずFXにおいて外貨を買ったとしてもそれはただ「外貨を買った(売った)」ということです。外貨が仕事をして新しい商品を新開発することはありません。外貨そのものが世の中をよくしてくれるわけではないのです。外貨の金利差によってはスワップポイントが得られますので、これは定期預金の感覚でいえば利息のような要素がありますが、銀行が預かった預金をどこかの企業へ融資したり個人に住宅ローンを貸し付けるように、社会の成長とダイレクトにつながってはいないのです(つながりゼロとはいえないのがまたややこしいのですが)。

金もそうです。金を100g買ったとして、金が何か仕事をして110gに増えることは絶対にありません。誰かが金におまけをつけて10g追加プレゼントをしてくれることもありません(そういうキャンペーンがないとはいえないが、売買手数料以上にもらえることはまずない)。

FXと金は「まったく成長していない…」(スラムダンク的に)投資なのです。
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