お金がかかりすぎて長生きできない?

長生きすることによって生じる大きな不安…
今回は「長生きしたくない理由」についてFP的見地からいろいろ整理してみたいと思います。長生きしたくない理由は健康上の不安、生き甲斐やゆとりが失われることへの不安なども深刻だと思いますが、やはりファイナンシャル・プランの不安、つまり「お金がなくなったらどうしよう?」という不安は大きいものがあると思います。

そこで今回は、「支出の不安」「年金収入の不安」「ライフスタイルの不安」という老後のお金に関する3つの不安を考えます。

老後のお金は一体いくら必要?


実際問題として我々はどのくらい長生きすると考えておくべきでしょうか。10年でしょうか。それとも20年くらい? いやいやそんな短いものではないのです。

厚生労働省が夏になると毎年発表する「簡易生命表」という統計があり、これに各年齢ごとの平均余命、つまいその年齢ごとの寿命があります。0歳児の平均余命がいわゆる平均寿命ということです。

これを見ると60歳の男性で約23年、60歳の女性で約28年の平均余命があることが分かります。なんと、還暦の年に孫が生まれたとしたら、孫の成人式を見守って、就職祝いをプレゼントするまで長生きすることを考えなければいけないくらいの長い期間です。もしかすると60歳の年に生まれた孫の結婚式に出れるかもしれません。

今から20年前といえば、まだバブル経済の頃、携帯電話もなければインターネットもない時代です。20年というのはずいぶん長い時間だということをまず、覚悟しなければなりません。

当然、老後が長いということはその分老後にかかるお金もたくさんかかるということです。総務省の家計調査年報(2006年)を見たところ、年金生活に入った(無職の)60歳以降の夫婦に必要な生活費は平均で毎月26.9万円だそうです。一見少ないように思えますが、これは税金や住宅ローン、教育費などの負担がなくなり、自分たちの生活費だけを中心に考えた家計ですから、そう悪い生活水準でもありません。単純に4週間で割れば毎週6万円くらいは使える計算です(もちろん実際にはそう単純ではありませんが)。

とはいえ、無職で過ごす長い老後のことを考えるとこれだけのお金を準備するのは半端な金額ではありません。仮に夫婦で60歳から23年過ごし、その後はシングルで8年間を月額15.0万円(単身の年金生活者の家計の平均額です)で過ごしたと仮定すれば、なんと老後のお金は8864.4万円にもなります。毎月の生活費が少しあがればあっという間に「老後のお金は1億円」ということになる勘定です。ほとんどの人は1億円も貯めることはできないでしょうから、おちおち長生きもできない、ということになってしまいます。

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