ピアノの「指使い」とは?
親指から小指に向かって順に1~5の番号がふられ、これが音符の上に書かれた数字と合致する
ピアノ譜を見ると、音符の上に小さな数字が書いてあることがあります。これは、どの指でその音符を弾けばいいのかを示す「指使い」の番号で、親指から順番に付けられた1・2・3・4・5の指番号と合致しています。
指使い、小さな数字の持つ大きな役割
音符の上に書かれている指使いの数字を、煩わしいと感じたり、無視して弾いていることはありませんか?でもこの小さな数字、実はすごい力をもっているのです!適切な指使いで弾くことによって、自然にきれいなフレーズができたり、苦労していたパッセージが楽に弾けるようになるなど、演奏の出来栄えに大きく関わってくることもあるのです。指使いどおりに弾くだけで、間違った音を弾くリスクが減ったり、楽にきれいに弾けるとしたら、こんなにお得なことはありませんね!新しい曲に取り組む時には、指使いもしっかりチェックするようにしましょう。
楽譜に書かれた指使いは守るべきなのか?
指使いの大切さを知っていると、楽譜に書かれている指使いを守ろうと一生懸命練習します。でも実は、楽譜に書かれている指使いが、必ずしも自分の手に一番合っているとは限らないのです。人それぞれ、手の大きさも指の長さも違いますし、特に大人の場合は、自分なりの動きやすいスタイルや癖が身についているものです。極端な話、専門家から見たら有り得ないようなおかしな指使いでも、その人にとっては、教本に載っている模範的な指使いよりずっと弾きやすいということもあるのです。
最初は楽譜どおりに弾いてみる
新しい曲を始める時、まずは楽譜に書かれたとおりの指使いで練習してみましょう。しばらく弾いてみて、どうしても弾きづらい場合は、その指使いはあなたにとってベストではない可能性も。他にどのような指使いが考えられるかいろいろ試してみましょう。
ただし、練習曲の場合は、作曲者が目的を持ってあえてその指使いを指定している場合が多いので、基本的に楽譜に忠実に弾きましょう。
他の出版社の楽譜と比べてみる
指使いがしっくりこない時は、他の出版社の楽譜と見比べてみるのもひとつの方法です。どの出版社の楽譜もまったく同じ指使いが記されていることもありますが、時にはびっくりするほど違う指使いを見つけることもあります。
楽譜の指使いは誰が決めているのか?・著名なピアニストや教育者によるもの(楽譜に「校訂者」として名前が載っている)
・作曲者自身によるもの
・出版社が編集者につけさせたもの(楽譜上に編者名の記載がない)
一見、弾きづらく不可解に思える指使いもありますが、たとえば強調したい音符にはしっかりした指を使うように考えられていたり、自然にフレーズの区切りができるような指使いだったり、その裏には必ず音楽的な根拠があるものです。自分に合っているかどうかは別として、どのような指使いも間違いということはありません。いろいろ見比べて参考にしましょう。
自分オリジナルの指使いを決める時の注意点
自分が弾きやすいオリジナルの指使いを見つけることは大切ですが、だからと言って「弾きやすければ何でもいい」というわけでは決してありません!あくまでも「音楽の流れを損なわない」ということが大前提です。気をつけるべきポイント
- なめらかに弾くべきところが、ブツブツに途切れてしまう
- 和音のバランスが極端に悪くなるなど、音量のコントロールができない
- 正しい音は弾けても、楽譜で指示されている表現ができない
マイベストと思える指使いを体に馴染ませる
自分に一番合っていると思える指使いが決まったら、後はひたすら弾きこんで、それを体に馴染ませていくことです!定着するまで時間がかかっても、次第に自然に指が動くようになってくるはず。ただし、しばらく練習を続けてもどうしてもしっくりこない場合は、マイベストと思った指使いを再度見直すことも時には必要です。「やっぱり楽譜どおりの指使いが一番弾きやすかった!」なんて話しも案外よく聞きますよ。
【関連記事】