「LUPIN THE THIRD 「JAZZ」」
「LUPIN THE THIRD 「JAZZ」」大野雄二トリオ
「ルパン三世のテーマ」
この「LUPIN THE THIRD 「JAZZ」」は作曲者でもあり、ジャズ・ピアニストでもある大野雄二による、ルパン・ジャズの決定盤です。それだけに、クオリティの高かったアニメの時の曲調とは違い、さらに文句のつけようのない大人のジャズとしての作品になっています。
それでは、1曲目「ルパン三世のテーマ」から聴いていきましょう。この曲は主題歌として歌詞のついたヴァージョンもありますが、もともとは当時アニメのテーマとしては珍しかったインストものでした。
ブラス・アンサンブルを中心としたメリハリの効いた主題歌とは一転、雰囲気を変えここでは、ゆったりとしたラテン調で、聴かせます。ベテランベーシストの鈴木良雄の深みのあるベースのイントロに続き、パーカッションが加わる頃には、もう大人のバーにいる感覚にとらわれることでしょう。
同じくベテランの杉本喜代志のギターも良い味を出しています。もちろん、大野雄二のピアノが良いのは言うまでもありません。大野は60年代から日本のトップジャズシーンで活躍している大ベテランで、ジャズだけではなく、映画やテレビにかかわり、様々な音楽シーンで活躍してきた実力者です。ギターの杉本とはデビュー当時からの付き合いで、彼らの息の長さとコンビネーションは、このルパン・ジャズを歳月を経たコクのあるシングルモルトのような味わいにしています。
「ルパン三世 愛のテーマ」
3曲に入っているバラードの「ルパン三世 愛のテーマ」も聴きものです。甘さに流れず、ハード・ボイルドな演奏がよりこの曲の持つメロディの良さを強調しています。
ベースの鈴木の音色は、抜群の安定感とベースらしい余韻が素晴らしく、一音一音が切れることなく繋がり、絶妙な粘りとスイングを生み出していて、さすがです。
「ラブ・スコール」
このアルバムの最後を飾るのは、やはりこの曲「ラブ・スコール」です。ルパン三世をリアルタイムで見ていた世代の私としては、一番印象にあるのが実はこの曲「ラブ・スコール」です。
ボサノヴァ・タッチのヴォーカル・バージョンだったこのエンディング・テーマは、アニメを食い入るように見ていた子供だった私を少し大人な気分にしてくれる魔法の歌でした。
私の初恋ともいえるこの曲だけに、この作曲者大野によるピアノ・ヴァージョンは楽しみでした。そして、ついに聴いてみると…
大野のメリハリの効いたピアニズムが凛とした気品を生み出しているイントロに続き、懐かしいあのメロディが奏でられます。やはり、作曲者大野はわかっているかのようにテーマをほとんど崩すことなく淡々と弾いていきます。
軽快なアドリブもさすがの一言。文句のつけようないジャズ・ヴァージョンです。ですが…
いちファンとしての私とすれば、やはりここはヴォーカル・バージョンで聴いてみたかったという思いもあります。それほどに、テレビのエンディングで流れたこの曲が素晴らしく、思い出に残っているからです。
でも、もしかしたら、アニメ・ヴァージョンが大好きだった私ですから、ヴォーカル・バージョンだったらだったで、なんか一言言ったのでしょうか?
いずれにしても、このルパン・ジャズはルパンを知っている知っていないは抜きにしても、一級のジャズ・アルバムだということは間違いがないところです。
ルパン三世のジャズ、いかがでしたか?まだまだ、アニメのジャズヴァージョンは沢山あります。機会を見てご紹介していきますね。では、また次回お会いしましょう!
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