【不動産売買ワンポイントアドバイス No.065】

川沿いのマンション

かつては河原だったところに住宅地が広がる例は多い


川の近くには古くから多くの人が住み、現在では大型のマンションが次々と建設されているようなところもあります。しかし、大きな河川の近くでは「昔の姿」を思い描いてみることも欠かせません。

たとえば、下流域が東京都と神奈川県の境になっている多摩川では、東京都側(大田区、世田谷区、狛江市、調布市)と神奈川県側(川崎市)に同じ地名がいくつも点在しています。これらは江戸時代の半ば頃まで地続きだったものが、多摩川の流れが大きく変わることによって分断されたのだそうです。

言い換えれば、その前まで多摩川は別のところを流れていたのであり、当時の河原や河川敷は現在、住宅地となっているわけです。

洪水のたびに流れを変えた多摩川に堤防が築かれて流路が固定されたのは明治45年で、その際に東京と神奈川の境界も変更されたようですが、太古の昔まで遡って考えれば「かつて多摩川が流れていた区域」はかなりの広範囲に及ぶことでしょう。

そのため、現在の川の位置からだいぶ離れた住宅地に、「後背湿地」と呼ばれる軟弱な地盤が広がっていることもあります。これは、大雨や洪水のときに自然堤防を越えてあふれ出た水が低地に残り、細かい土が沈殿するようなことが繰り返されて形成された地盤です。

また、川の流れが変わった後に池や沼として残った場所、普段から湿地となっていた場所などもあるでしょう。これらの多くが埋め立てられて、現在は住宅地となっています。

このような例は多摩川にかぎった話ではなく、比較的大きな河川であれば全国どこでも考えられます。現在の流路からほとんど標高差がないままに広がる区域であれば、「かつては河原や河川敷だった土地」は至るところに存在するでしょう。

かつての河原など地盤が弱い敷地では、同じ地震でも周囲の住宅より揺れが大きくなることがあるほか、液状化のリスクも高くなりがちです。

近年に建てられたマンションであれば、地下深くの支持層まで杭を打ち込むなどして地盤対策を施していますが、古いマンションや一戸建て住宅の場合には十分な注意が必要です。

とくに、2000年6月の建築基準法改正以前に建てられた一戸建て住宅では、その着工前に地盤調査をしている例が少ないため、そのような中古住宅を購入する際には建物の状態をしっかりと確認することが大切です。事前の住宅診断(ホームインスペクション)のほか、可能であれば地盤の専門家に調査をしてもらうことも検討しましょう。

もちろん、現在の河川の流路に近いところであれば洪水による堤防の決壊など、いざというときに備えた対策を考えておくことも欠かせません。


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