平成の歌謡ポップス、テーマは「肉食系女子」!?
世の中の移り変わりとともに、当然のように流行歌も形を変えてきましたが、一方で当時の歌謡ポップスのエッセンスを受け継ぎながら、21世紀の新たな歌謡ポップスを生み出そうという動きも目立ってきました。その1人に、歌謡曲の老舗コロムビアレコード100周年歌手としてデビューし、今年1月に新曲「COME ON! COME ON!」をリリースした伊藤美裕がいます。作詞・岡田冨美子、作曲・鈴木淳という、まさに昭和の歌謡ポップスの世界で活躍してきた伝説のクリエーターによる作品です。
「未熟なあなたを激しい愛で 強い男に育てたくなる」というフレーズから伝わってくるのは、いま流行の「肉食系女子」の情熱的なメッセージ。ただし、肉食系という言葉自体は最近生まれた新語ですが、昭和の一時期には、夏木マリ、山本リンダなどが歌う、肉食をアピールする様々な楽曲が人気を集めていました。この歌にも当時の歌謡ポップスの香りがちりばめられています。
今も昔も変わらない、歌謡ポップスの魅力
先日開催された新曲発表会では、過激な歌詞にもかかわらず「歌謡曲の面白さって演じるところ」という鋭い持論を披露していました。まさしくここに歌謡ポップスの魅力があるように思いました。作詞家と作曲家が作り上げた非日常の世界を歌うことで演じることが、昭和歌謡のスターにとって成すべきことでした。必ずしも毎日がバラ色ではなかった高度成長期の一般庶民は、歌謡ポップスを聴いたり歌ったりすることで、つらい日常を一時でも忘れることができたんでしょう。
景気回復半ばの現代日本にとっても、歌謡ポップスは必要であるように思います。つらい現実に直面してしまってる方、いま一つ調子が出ないと嘆いている方、歌謡ポップスの世界に思いを馳せてみてはいかがでしょうか?