他人のケガ・モノの補償は「個人賠償責任保険(特約)」でカバーできる
自転車事故を起こしてしまったとき、自動車保険の特約をみてみよう
ある火災保険に個人賠償責任特約(支払限度額1億円)を付加したところ、年払保険料は1000円でした。ある自動車保険で見積もりをしたら、支払限度額が無制限で500円でした(2015年2月18日現在)。この差がどこから発生しているのか解明できませんでしたが、いずれにしても手ごろな保険料といえるのではないでしょうか。
ちなみに、個人賠償保険は日本国内で発生した自動車事故以外の日常生活の事故により、本人とその家族(別居の未婚の子を含む)が他人をケガさせたり、他人の財物に損害を与えたりして、法律上の損害賠償責任を負った場合に保険金が支払われるものです。自転車事故以外にもさまざまなシーンで役に立ちます。自転車保険に付帯されている個人賠償保険も同様の補償内容ですので覚えておくと、イザというときに心強いですよ。
<個人賠償保険の支払い対象となるケース>
・マンションで洗濯機から水が漏れ、下の階に損害を与えた
・デパートで買い物をしていたら、陳列されている商品をうっかり壊してしまった
・散歩中に飼い犬が他人に噛み付いてケガをさせてしまった
「人身傷害保険」の入り方次第で自転車事故も対象に
自分のケガや後遺障害については、自動車保険の「人身傷害保険」で自転車事故の一部をカバーできます。人身傷害保険は、車の運行に起因する事故等により、ケガ・死亡・後遺障害を被った場合に発生する治療費・休業損害・精神的損害・逸失利益・介護料・葬祭費等を過失割合にかかわらず保険金額を限度に実際の損害額に対して保険金が支払われるものです。
コツは「車内+車外補償(人身傷害車外事故特約)」を付加すること。これを付けることで、その自動車保険に搭乗中の事故だけなく、自転車に乗っていたときや歩行中の自動車事故による自身への損害が補償されます。
つまり、自動車との接触事故に限定されていますが、自動車保険の記名被保険者である本人だけでなく、その家族まで対象にした補償が得られるのです。先に紹介した通り、自転車事故の84%が自動車との接触事故です。事故の相手が自転車や歩行者の場合は支払い対象になりませんが、身体的損害が大きくなりやすい自動車との事故が実損で補償されることになります。
人身傷害保険の保険料は条件によって異なりますが、40歳のAさんのケースで2社に見積もりをとったところ、「車内補償」を「車内+車外補償」に切り替えることで、保険料は図表2のようになりました。
自転車に乗る家族が1人でもいるのなら、車内も車外も補償される人身傷害保険になっているかチェックしましょう。
人身傷害保険は家族全員が支払い対象になる
人身傷害保険(社内+車外補償)は記名被保険者である本人だけでなく、その家族※も対象になります。一方、自転車保険は原則1人1契約で、家族型があったとしても個人型に比べて保険料が高くなるのが通常です。保険金の支払われ方も自転車保険が定額払いで自転車事故により入院・通院した場合を対象にしているのに対して、人身傷害保険(車内+車外補償)は実損払いで、自転車事故は自動車と接触した場合のみ対象になります。自身のケガや後遺障害の補償は、身体への影響が大きくなりやすい自動車との接触事故での補償を手厚くしたい場合や自転車に乗る家族が多い場合は「人身傷害保険(車内+車外補償)」で。自転車事故によるケガの入院・通院をオールマイティーに備えたい場合や自転車に乗る家族が少ない場合は自転車保険で、と、考えていくといいですね。
※記名被保険者の配偶者、記名被保険者またはその配偶者の同居の親族、別居の未婚の子
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